◆2025 パーソル クライマックスシリーズ パ最終ステージ 第6戦 ソフトバンク2―1日本ハム(20日・みずほペイペイドーム)

 ソフトバンクが「2025 パーソル クライマックスシリーズ パ」の最終ステージ(S)第6戦を制し、4勝(アドバンテージ1勝を含む)3敗で2年連続、パでは西武を抜いて歴代最多となる22度目の日本シリーズ進出を決めた。2連勝で王手をかけながら、第3戦から3連敗。

タイに持ち込まれたが、第1戦から中4日で先発したリバン・モイネロ投手(29)が7回1失点で、川瀬晃内野手(28)の勝ち越し打による1点リードを守り、MVPを獲得した。25日にみずほペイペイで開幕する阪神との頂上決戦で、5年ぶり12度目の日本一を目指す。

 しびれる1点差を逃げ切った。ソフトバンク・小久保監督の目は潤んでいた。「3連敗して…、苦しかったです」と、声が震える。CS突破に王手をかけてから4試合目。試合前に「1%2%でも不安もしくは疑念、迷いがあるなら消し去れ。自分自身を100%信じてくれ」と選手に呼びかけ、王者の底力を引き出した。

 「2番・遊撃」で3試合ぶりにスタメンに抜てきした川瀬が大仕事をやってのけた。同点の5回2死満塁、「このチャンスは絶対に生かそうと思いました」と、右前に決勝適時打。スーパーサブは前日、自身の活躍シーンのVTRを見てベッドに入り、イメージ通りにバットを振り抜いた。

 苦しい時こそ力を発揮する。

リーグ優勝時の会見で指揮官が「ポイントになった」と称賛したのも、5月2日のロッテ戦の川瀬のサヨナラ打だった。9回2死満塁、代打で逆転サヨナラ2点二塁打。今シーズン最多の借金7で最下位に沈んでいたチームの連敗を5で止め、潮目を変えた。昨季のCS最終ステージ初戦もピンチを防ぐ好守で、一気の3連勝の流れをつくった。「短期決戦こそ毎日出ている人の方がプレッシャーがかかる。僕らベンチの時間が長い選手が事を起こさないといけない」。これほど勝負強い選手が控えているのが、ソフトバンクの強みだ。

 日本ハムとはレギュラーシーズン、CS(1勝のアドバンテージを除く)で計16勝15敗。小久保監督は試合前、同学年の敵将に「1年間ありがとう」と声をかけたという。死闘に決着をつけ、2年連続の日本シリーズ進出。昨季の頂上決戦はDeNAに敗れて喪失感を味わった。6月22日、交流戦Vを決めた甲子園でのインタビューで「秋にはセ・リーグ1位の阪神さんと戦えるように」と誓った指揮官。

「(他球団のファンの間で)プチ炎上みたいになりましたけど、自分たちのチームに向けての目標設定でした」。約束の地で、5年ぶりの日本一を目指す戦いに臨む。(島尾 浩一郎)

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