プロ野球ドラフト会議が23日に行われる。スポーツ報知では「本紙選定 個性派ドラフト候Ho!」と題し、注目選手を3回にわたって紹介する。

第2回は、明大・大川慈英投手(21)。

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 明大の守護神・大川がマウンドに走った瞬間、相手ベンチには絶望の風が吹く。最速155キロの「刺す直球」と多彩な変化球で、打者のバットに空を切らせる。即戦力のリリーバーとしてスカウトの熱視線が注がれる中、今秋リーグ戦では7試合に救援し、計9回を投げ失点0。四死球0と制球力も上昇し、5季ぶりのリーグ優勝へ貢献した。

 「父も母も上の世界で戦っていたので、競技は違いますが、自分もプロに行きたい思いがずっとありました」。父・政則さんは元・総合格闘家。99年には「寝技世界一決定戦」で有名なアブダビコンバットに出場した。母・千穂さん(旧姓・鳥居)は女子バレーの名門ユニチカでプレーし、96年アトランタ五輪では日の丸を背負った。大川はそんな2人の長男として、この世に生を受けた。世界でも親しまれるように「慈英(ジェイ)」の名を授かった。

 2歳の頃から母とバレーを楽しむなどスポーツに親しんだ。

小3から野球を始めると、トレーニングが趣味の父は平塚市内の自宅に“筋トレ部屋”を設け、鍛錬に熱が入った。世界の猛者と真剣勝負をしてきた経験から、我が子に「脱力が大事だ」と伝えた。金言は今でも胸に刻む。躍動感あふれるフォームの原点だ。

 母は現在、高校女子バレーの強豪・相洋の監督として後進を育成する中、テレビ解説も務める。母から学んだのは競技への意識の高さだ。「家でもずっとバレーのことを考えていて、一つの競技に対する集中力は本当にすごいなと」。常に一生懸命な両親の背中を見て育った。だから100%の熱意で野球道を突き進む。

 明大は史上最長の15年連続でドラフト指名選手を輩出中。大川らが記録を更新する可能性は高い。「先を見ることなく、目の前の勝負を確実に勝てる投手になりたい」と大川。

勝負師の血をたぎらせ、運命の瞬間を待つ。(加藤 弘士)

 ◆大川 慈英(おおかわ・じぇい)2003年10月28日、神奈川・平塚市生まれ。21歳。なでしこ小3年から平塚リトルで野球を始め、浜岳中では湘南ボーイズで東日本報知オールスター神奈川県選抜入り。常総学院では3年時にセンバツ出場。明大では2年秋にリーグ戦初登板。リーグ戦通算32試合に登板し、4勝1敗、防御率2.90。弟の慧(けい)は東海大1年。180センチ、75キロ。右投左打。

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