ソフトバンクの城島健司チーフ・ベースボール・オフィサー(CBO、49)が28日、ドラフト1位で指名した米スタンフォード大・佐々木麟太郎内野手の父で、花巻東(岩手)の洋監督(50)に指名あいさつを行った。

 岩手・花巻市内の同校で、約50分、佐々木監督と話し合った城島CBO。

球団の熱意を示した中で、親子とも予想していなかった指名だったと会談の一端を明かした。「まさか、1位で指名されるとはお父さんも麟太郎くんも思っていなかった。結果的に驚かせることになってしまった。ただそうなってでも、麟太郎くんを高く評価したことをお伝えしたかった」。

 秘密裏に進められた“プロジェクト”だった。洋監督からは「ソフトバンクから(直前の)1か月ぐらい何の連絡もなかった」と話を向けられたという。DeNAからも何の連絡もなし。熱心に8球団が視察した中、結果的には“無言”を貫いた2球団が競合。情報漏えいを徹底的に避ける戦略が、衝撃のドラフトになった。

 麟太郎のマネジメント会社であるナイスガイ・パートナーズの木下博之氏(49)は27日、26年7月12、13日に開催されるMLBドラフトの結果を待って、進路を決断するとの見通しを示した。ソフトバンクかメジャーか、それとも大学残留か。大まかに3つの選択肢が考えられるが「彼の意見を尊重したい。

来年のシーズンを見守った上で、彼の判断を待とうと思います」と同CBO。規約通り、同大学が全日程を終えて、交渉が解禁となるまで待つ方針を示した。

 ルールを守り礼を尽くす―。ソフトバンクにとって、麟太郎はそれほどの価値がある。「唯一無二。日本のプロ野球を盛り上げるようなバッターになってほしい」と城島CBO。王貞治球団会長(85)も高い評価をしていることを明かした上で「もしうちに縁があれば(王)会長の寿命は10年延びる」と笑顔で語った。11月4日には渡米し、麟太郎に指名あいさつをする予定。熱い思いを伝え、吉報を待つ。(高橋 宏磁)

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