◆SMBC日本シリーズ2025第3戦 阪神1―2ソフトバンク(28日・甲子園

 「SMBC日本シリーズ2025」は甲子園で第3戦が行われ、ソフトバンクが阪神に逆転勝ちし、2勝1敗とした。7イニングで得点圏に走者を背負い、守備でも2失策1捕逸。

ピンチの連続だったが、先発のリバン・モイネロ投手(29)が、阪神・才木浩人投手(26)とのセ、パの最優秀防御率対決で6回1失点と力投した。7回からはリリーフ陣も奮闘。本塁を踏ませず、1点差試合を制した。

 しのいで、しのいで、しのぎきった。4回以降は6イニング連続で得点圏に走者を背負いながら、無失点。ソフトバンクが完全アウェーの甲子園で、しびれる1点差を逃げ切った。「ピンチの連続だったので、ほんとよく逃げ切ったなって感じです」と、小久保監督の表情は敗戦の将のように疲れ切っていた。

 エースの左腕・モイネロが6回1失点。7回以降は藤井、松本裕、杉山と、タカファンが「樹木トリオ」と呼ぶ勝ちパターンの3人で1点を守り切った。特に7回は山川の失策で先頭の出塁を許した後、二盗に捕逸が重なり1死三塁の大ピンチを藤井がしのいだ。「いいところに落ちてくれた」と、フォークで近本、中野を連続で空振り三振。「よう勝ちきった。

藤井さまさま、でしょ」と指揮官も絶賛。「彼らでやられればしょうがないと腹をくくれます」と救援トリオの力投を一番の勝因にあげた。

 6回の窮地は、日本S初スタメンの今宮が超ビッグプレーで救った。2死一、二塁、坂本が放った遊撃後方の打球に完璧にタイミングを合わせてジャンピングキャッチ。チームは2失策に加えて記録に残らないミスも随所にあったが、34歳の名手だけは別格の動きだった。「何とかグラブに収まってくれました。投手陣が頑張ってくれて、勝つことができた」。日本一になった14年は同じ甲子園で交流戦。背走キャッチではじいたボールを「空中キャッチした」美技も語り草だ。

 今宮が10年に入団後、ホークスは7度の日本一に輝いている。守り勝つ野球は伝統だ。黒星発進の後、敵地でしぶとく先勝。

5年ぶりの日本一へ一歩前に出た。(島尾 浩一郎)

 【記録メモ】

 ▼V確率77% ソフトバンクは1勝1敗で迎えた3戦目に勝利。日本シリーズで1勝1敗から先に2勝目を挙げたチームは、過去35度のうち27度優勝しており、V確率は77%。ソフトバンクのように黒星の後に2連勝したチームは過去20度で、優勝は15度のV確率75%だ。過去、ソフトバンクが勝って2勝1敗にしたケースは55、99、14、18年の4度。55年を除く3度で日本一となっている

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