◆プロボクシング ▽IBF世界フライ級(50・8キロ以下)タイトルマッチ12回戦 王者・矢吹正道―同級1位・フェリックス・アルバラード(12月27日、愛知県国際展示場)

 IBF世界フライ級王者の矢吹正道(33)=緑=が、12月27日に愛知県国際展示場で指名挑戦者の同級1位フェリックス・アルバラード(36)=ニカラグア=との初防衛戦に臨むことが31日、発表された。都内で会見した矢吹は「アグレッシブでキャリアもあって強い選手。

ここ最近では一番苦戦するのではないか」とアルバラードを警戒しながらも、「KOで終わるかなと思う。自分がKOで勝って次につながればいいと思っている」とKO防衛を予告した。

 また、興行をプロモートする亀田興毅ファウンダー(38)は「強い相手なので激しい試合になると思うが、矢吹選手は力強さを増しているのでクリアしてくれると思う。この先、統一戦や3階級も見据えていってもらいたい」と期待。これに対し、矢吹は「IBFの1階級上(スーパーフライ級)の話もあった」と明かした上で、「今はアルバラードのことしか考えていないが、それ(統一戦や3階級制覇)ももちろん視野にやっていきたい。どう転んでも、自分は全然やりたいので。チャンスがあれば全然やります」と意欲を見せた。

 アルバラード戦は9月に興行権の入札が行われ、MPプロモーションが3万ドル(約450万円)落札。当初、海外メディアは11月にメキシコで開催されると報じていた。最終的には「SAIKOU×LUSH」が興行権を買い取り、日本での12月開催が実現した。

 タイトル獲得から9か月の期間が空いたが、矢吹は「特に休むことなく、いつ試合が決まってもいいように練習を続けてきた。このまま試合をやらなければ(王座を)返上とか剥奪(はくだつ)されるんじゃないかなっていうこともあったんで、それはさすがに避けなきゃいけない。

やっぱり日本でやりたかったんで、紆余曲折あったが、国内でやれることは感謝している」と話した。

 また、アルバラードもリモートで会見に参加。2010年に亀田3兄弟のスパーリングパートナーとして初来日している挑戦者は、「また日本に行けることがうれしい。日本は平等にジャッジしてくれるので、矢吹選手とフェアにいい試合ができると感じている。全身全霊をかけて倒しにいく。KOで勝てるように準備する。アグレッシブな試合になると思うので楽しみにしてください」とコメントした。

 矢吹は今年3月29日、IBF世界ライトフライ級王座を保持したまま、1階級上のIBF世界フライ級王者アンヘル・アヤラ(メキシコ)に挑戦。3度のダウンを奪って12回TKO勝ちし、日本人初となる2階級同時制覇を達成。4月にライトフライ級王座を返上した。弟はIBF世界スーパーフェザー級8位の力石政法(31)=大橋=。

 アルバラードは13年12月、当時のWBA世界ライトフライ級王者・井岡一翔に挑戦し判定負け。

18年10月にIBF世界同級王座を獲得すると、19年5月に小西伶弥(真正)を判定で下して初防衛に成功。2度目の防衛後、王座を返上し、フライ級に転向。昨年12月にIBF世界フライ級挑戦者決定戦で判定勝ちして、挑戦権を獲得した。双子の弟であるレネ・アルバラードは元WBA世界スーパーフェザー級王者。

 戦績は矢吹が18勝(17KO)4敗、アルバラードが42勝(35KO)4敗。

 試合はABEMAで無料生中継予定。

 ◆矢吹 正道(やぶき・まさみち)本名・佐藤正道。1992年7月9日、三重・鈴鹿市生まれ。中学3年から本格的にボクシングを始め、四日市四郷高時代にインターハイ出場。16年3月に薬師寺ジムからプロデビュー。20年7月に日本ライトフライ級王座獲得。1度防衛後に返上。

21年9月に初挑戦でWBC世界同級王座初奪取。22年3月の初防衛戦で3回KO負け。身長166センチの右ボクサーファイター。リングネームはボクシング漫画「あしたのジョー」の主人公・矢吹丈から。家族は妻、1男1女。

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