女優の吉永小百合(80)が31日、東京・TOHOシネマズ新宿で主演映画「てっぺんの向こうにあなたがいる」(阪本順治監督)の初日舞台あいさつに登壇した。

 一歩一歩、踏みしめ、ようやくたどり着いた作品の頂。

「3年くらい前から準備して一生懸命に作り上げた映画。じっくり楽しんでください」と万感の思いを込めて語った。

 女性初のエベレスト登頂に成功した田部井淳子さんの、実話を基にした物語。124本目の映画出演作となる吉永は、田部井さんをモデルにした主人公を演じるために、長い年月をかけて備えてきた。撮影に入っても、何日もかけて山の上のシーンに取り組んだ。

 この日の東京はあいにくの雨だった。前日から天気予報にくぎ付けだったと告白。「次の日のことを思うと、ドキドキして、胃がしくしくと痛む思いでした」と明かした。

 タイトルにちなみ、「てっぺんの向こうに〇〇がいる」をテーマにしたトークを展開。吉永が「てっぺんの向こうに観客の皆様がいる」と答えると、この日一番の拍手に包まれた。「大変な天気の日に、見に来てくださる方がいらっしゃる。本当にありがたく、うれしく思っております。

若い方がご覧になっても楽しいですし、私たち世代の方にも頑張って生きていこうと思ってもらえる映画です」と丁寧に言葉を紡いだ。

 劇中では長年連れ添った夫婦像も描かれる。吉永と夫婦役を演じた佐藤浩市(64)は「まさかまさか、吉永さんと夫婦役を演じる日が来るなんて思っていなかった」と感慨深げ。司会者から「お父様の三國連太郎さんに報告したら、何とおっしゃいますかね?」と質問されると、三國さんにそっくりの口調で「『ああ、そう』と言うんじゃないですかね」と話し、笑わせた。(有野 博幸)

 ◆のん「てっぺんの向こうにお布団がいる」

 吉永演じる主人公の青年期を熱演した、のん(32)は「てっぺんの向こうに〇〇がいる」のコーナーで、他の人がまじめな内容に終始する中、「お布団」とユーモラスな回答を披露した。

 「一生懸命に仕事したときなど、いっぱい寝て三度寝くらいするぞ!と。真っ先に浮かんだのがお布団でしたが、(この答えは)失敗したかな」と苦笑い。出演が決まった当時を「家の中で跳びはねるほど興奮した」と改めて振り返った。

 主人公を支える親友の新聞記者を演じた天海祐希(58)は「偉大な女性を、偉大な女性が演じた映画。実際に私が吉永さんに感じてきた憧れのまなざしを、そのまま撮ってもらったように思います」と話した。

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