◆プロボクシング ▽123ポンド(約59・8キロ以下)契約10回戦 〇尾川堅一(5回KO)プレスコ・カルコシア●(11月1日、東京・後楽園ホール)

 元IBF世界スーパーフェザー級王者の尾川堅一(37)=帝拳=が、プレスコ・カルコシア(29)=フィリピン=を5回2分0秒KOで下した。2022年6月のIBF世界同級王座陥落から、再起5連勝を飾った。

 戦績は尾川が31勝(22KO)2敗1分け1無効試合、カルコシアが13勝(9KO)6敗1分け。

 尾川は小刻みなステップで距離をキープしながら、ジャブを起点にボディーへの右ストレート、左右ボディー、ワンツーを的確にヒット。5回、左ボディーで動きを止めると、コーナーに詰めてボディーを連打。最後は左ボディーで10カウントを聞かせた。

 「ボディー中心というのは決めていた。相手が引いていたので、1ラウンドが終わってコツコツやるしかないなと思った。最後はボディーをしっかり打てたので、プラスに捉えていきたい。かするようなボディーが効いているなと思って、最後までボディーを焦らずにいけたのは良かった。今回はコンディションもうまく作れて、足に力入らないこともなかった。コンディションを作ってコツコツとパンチを浴びせていけば倒れるんだなという部分も良かった」

 現在の世界ランクは、WBO同級2位、WBC同級13位に名を連ねる。来年にも世界挑戦を見据えているが、標的とするWBO同級王者エマニエル・ナバレッテ(メキシコ)は来年3月にIBF同級王者エドアルド・ヌニェス(メキシコ)と王座統一戦に臨む予定だ。

 「しっかり、再起して5勝4KOと数字は残せた。

ナバレッテが統一戦をやるとかでオイオイオイと思いますけど、タイミングは自分の持ってる運しかないと思うので、自分は諦めずにひたすら練習するしかない。やっぱり(ベルトを)取る人間は取るんで、自分を信じてやっていきたいなと思います」

 入場時には、8月の試合後に急性硬膜下血腫のため亡くなった同門の浦川大将さん(享年28)のロゴが背中に入った自作Tシャツを着用した。浦川さんはジムでの練習時間も同じで、ずっと慕ってくれていた後輩だった。この日は浦川さんの妻と子供たちも会場に応援に来ていた。尾川は試合後のリング上でもTシャツを着用。「浦川の思いを背負って出来る限りのことをやる。浦川を一生忘れないでもらいたい」と涙ながらに言葉を絞り出した。

 「試合前に仏壇にも手を合わさせてもらって、しっかりやってくるよって報告してきた。応援にも来てくれて。自分の家族もそうだし、浦川の家族の分も背負って、守るものっていうかいろんな思いがあったので、今日はその姿を見せられてよかった。(浦川さんが)いるのが当たり前だと思っちゃってたんで。存在っていうのはやっぱり大きいですよね。

(浦川さんの家族にも)不甲斐ない姿を見せられないなっていう部分と、安心させたい部分もあった。大切な存在なんで、(勝利を見せられて)良かったかなと思いますね」

 浦川さんの思いも背負って、元世界3階級制覇王者の長谷川穂積氏が保持する国内最年長(35歳9か月)での世界王座奪取記録更新を目指す。

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