◆秋季高校野球東京都大会 ▽準々決勝 帝京3―0日大三(2日・スリーボンドスタジアム八王子)

 帝京の187センチ左腕・仁礼パスカルジュニア(2年)が、今夏の甲子園準優勝の日大三を6安打完封で下し、2年連続の準決勝進出を決めた。

 ナイジェリア人の父と鹿児島・奄美大島出身の母の間で名古屋市に生まれた左腕が、ゆったりしたフォームから緩い球を駆使し、難敵をかわした。

「夏が終わってから、スピードより打者目線で打ちにくいようにした」。中学時代に最速136キロだった直球を120キロ台の見せ球として使い、要所でチェンジアップを多投。来秋ドラフト候補のスラッガー・田中諒捕手(2年)には4回に大きな中飛を打たれ「怖かった。入ったと思った」と苦笑いを浮かべたが、すべて外角に集めて3打数無安打(1四球)に抑えた。

 9番打者としても2回1死二塁で先制の中越え三塁打を放ち、リズムに乗った。3回に一塁けん制で飛び出した走者をアウトにすると、7、9回と無死一、二塁のピンチでも慌てず、味方の好守にも支えられ本塁を踏ませなかった。107球の公式戦初完投で、完封は練習試合を含めて初。「ピッチャーにしか感じられない気持ち良さがあります」。2011年夏を最後に甲子園から遠ざかる帝京に、粘り強いエースが誕生した。(雑誌『報知高校野球』取材班)

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