フィギュアスケート 西日本選手権兼全日本選手権アイスダンス予選会 第2日(2日、木下カンセーアイスアリーナ)

 アイスダンスのフリーダンス(FD)が行われ、今季新たにカップルを結成しリズムダンス(RD)2位の紀平梨花(トヨタ自動車)、西山真瑚(オリエンタルバイオ)組が77・13点。合計136・74点で3位となり、全日本選手権(12月、東京)出場は決めたが、国際大会派遣への最低技術点(RD、FDの合計85点)には届かず、26年ミラノ・コルティナ五輪出場の可能性は消滅した。

キスアンドクライで点数を確認した2人は「ああ」と思わず苦笑いを浮かべ、この日の評価を「50~60点。今できるベストをしたところが100としたら、そのくらい」と口をそろえた。

 演技後に取材に応じた紀平は「練習でもできていたような演技ではない。悔しい思いが始めに来る。気持ちや試合の感覚はいい状態に持って行けていたので。そこがすごく良かった。これをスタートにして。もっと上がりきりたい」と振り返った。西山も「悔しさが残る。ここまで試合に向けて一緒に取り組んだ練習や、大会に向けて調整してきたものはこれからにつながる。これを糧に全日本に向けて頑張りたい」と今後へ向けて前を向いた。

 紀平は水色、西山は黒を基調とした衣装で「もののけ姫」を演じた。

「もののけ姫は壮大なプログラム。自分にも重ねながら、強い部分や複雑な部分を表現できればいいな。あとは美しさ、きれいな部分を見ていただければ」と紀平はFDに込めた思いを語った。笑みを浮かべて演技を終えたものの、リンクを降りると「私がもっとスピードを出さないと」、「リフトは俺のミス」とすぐさま反省会が執り行われていた。

 女子シングルで2018年GP女王の紀平は、右足首の古傷が完治せず、今季はシングルでの五輪挑戦を断念。9月に経験者の西山とのアイスダンス挑戦を表明し、1日のRDでは1043日ぶりの競技会復帰を果たしていた。「りかしん」は、RDでの技術点が33・77点、FDでは51・23点が必要だったものの、40・29点と届かず。技術点のクリアと今大会最上位が条件となっていたが、お預けとなった。西山は「ここで全部が終わるわけじゃない。ここからがスタートなので、2030年の五輪に向けて一つずつ、階段を上がっていきたい」と気丈に答えた。紀平は「まず、この大会に出られたことが奇跡。目指しているところまで、もっと練習が必要。

2030年に向けて努力を重ねて、素晴らしいものになれば」と4年後を見据えた。

 表彰台に上り「懐かしい感覚」を抱いた紀平。「うれしいより悔しい思いの方が強い。より気が引き締まったし、ミスがないことが大事だと改めて思った」とさらなる向上心が芽生えた。西山は「自分たちであれば、これから高みを目指して戦っていける。めげずに上を目指して貪欲に戦っていきたい」と今後へ向けての目標を語った。

編集部おすすめ