◆学生3大駅伝第2戦 全日本大学駅伝(2日、名古屋市熱田神宮西門前スタート~三重・伊勢市伊勢神宮内宮宇治橋前ゴール=8区間106・8キロ)

 駒大が5時間6分53秒で2年ぶりの頂点に立ち、歴代最多だった優勝回数を17度に更新した。当日変更で入った5区の伊藤蒼唯(あおい、4年)が35秒差の4位で受けたタスキを首位まで押し上げると、後半区間は独走。

全員が区間5位以内で走る安定感と層の厚さを見せつけた。これで学生3大駅伝も最多30冠目。第102回箱根駅伝(来年1月2、3日)での3年ぶりのV奪回へ勢いに乗った。(曇り、12・4度、湿度93%、北北東の風0・2メートル=スタート10分前)

 強い駒大が、伊勢路に帰ってきた。主将の山川拓馬(4年)は両手の人さし指を突き上げ、爽快な笑顔で2年ぶりの優勝ゴールテープを切った。胴上げで宙を舞った藤田敦史監督(48)は「子どもたちが頑張ってくれた。監督としてうれしい限り」と誇らしげ。山川も「一人一人が自分の走りをしてくれた」と感謝した。全員が目標だった区間5位以内で走破。チーム力で勝利をつかみ取った。

 戦略がはまった。5区は「つなぎ区間」と呼ばれるが、「昨年優勝の国学院大は5、6区で一気に上がった」と藤田監督は分析。

今回、4年生エース格の伊藤を投入した。1位と35秒差の4位でタスキを受けた伊藤は「行くしかない」と従来の記録を17秒更新する区間新記録(35分1秒)で首位に浮上。2位に52秒差をつけて、次につないだ。6区からは独走態勢。大会MVPにも選ばれた伊藤は「価値ある区間賞」と胸を張った。

 4年生が先頭に立った。学生3大駅伝の3冠を目指してスタートした今季。開幕戦の出雲駅伝(10月13日)で5位に沈んだ。早々に目標を打ち砕かれても、山川主将は「まだ(全日本と箱根で)2冠できる」と下は向かず、仲間に奮起を促した。今大会前はエントリーメンバー16人全員が質の高い練習をこなし、普段のジョギングのペースも上がった。藤田監督は「出雲を負けたことで絆が深まった。優勝の要因の一つ」と言い切った。

 箱根駅伝3年ぶり制覇へ、視界は良好だ。恥骨のけがで10月から本格的な練習に着手したばかりのエース・佐藤圭汰(4年)は7区区間賞には届かなかったが、「(箱根で)悔しさを晴らす」と完全復活を宣言した。「考えた戦略と、学生たちが進めた流れがマッチした結果。非常に強い勝ち方ができた。箱根はチーム駒沢で一丸で戦っていく」と藤田監督。藤色のタスキはさらに強さを増し、新春の箱根路を彩る。(手島 莉子)

【Vメンバーの声】

 1区・小山翔也(3年、区間4位)「今度は自分が優勝を決める走りがしたい」

 2区・谷中晴(2年、区間3位)「理想的な展開で優勝できたことがうれしかった」

 3区・帰山侑大(4年、区間3位)「初めて、自分が走った大会で優勝することができた」

 4区・安原海晴(3年、区間5位)「後続の選手にカバーしていただいて感謝しかない。箱根で恩を返したい」

 5区・伊藤蒼唯(4年、区間新記録の区間賞でMVP)「非常にうれしい。役割が果たせた」

 6区・村上響(3年、区間2位)「守りに入らずに攻めの走りができた」

 7区・佐藤圭汰(4年、区間3位)「優勝できたことは非常にうれしいが、個人の走りはまだまだ」

 8区・山川拓馬(4年、区間3位)「チーム全体として今回も悔しさが出たことが、箱根へつながる」

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