プロレス界の“レジェンド”藤波辰爾が主宰する「ドラディション」は14日に東京・後楽園ホールで「DRAGON EXPO 1995~無我~」を開催する。

 今大会は藤波が1995年10月に旗揚げした「無我」再興がテーマ。

メインイベントで藤波は新日本プロレスの前IWGP世界ヘビー級王者・ザック・セイバーJrと初のシングルマッチで対決する。大会まで1週間。藤波がスポーツ報知の独占直撃にザック戦への思いを激白した。

 藤波はザックとの大一番を「冒険」と表現した。

 「危険だと思う。ザックと実際に組み合って、そこからどうなるか…自分でもどうなるか想像がつかないし分からない。とにかく自分がこの54年間、リングの上で培ってきたもの、持ってるモノをすべて出すしかない」

 昨年、G1クライマックスを初制覇しIWGP世界を奪取したザック。今年1・4、1・5東京ドーム2連戦でメインイベントを務めた。2月に後藤洋央紀に敗れ陥落したが6月に奪還。そして10・13両国国技館でKONOSUKE TAKESHITAに敗れ現在は無冠だが現在の新日本プロレスで頂点に立つ存在であることは揺るがない。年齢もザックは38歳と全盛期。対する藤波は71歳。

しかも一騎打ち。あらゆる側面から見て確かに「冒険」だろう。しかし、藤波は自らがこの闘いを望んだという。

 「ザックとのシングルは僕自身が望んだ。これは、現役である限りリングに上がる以上は、常に闘いを求めていきたい。例えば、これがタッグだと、試合の中でどこか人任せになってしまう部分がある。そうすると闘いから遠ざかるような感覚になり、コンディション、勘が衰える。昨年は高橋ヒロム、2022年の50周年記念大会では棚橋(弘至)と一騎打ちをやったけど、こういう試合に挑むことで自分自身を試してみたい。自分の中で引退という2文字はまったく見えない。だからこそ、現役を続けていく意味で冒険に挑んでいきたい」

 

 挑戦魂の火が消えない理由を尋ねると即答した。

 「プロレスが好きだから。だからこそ挑戦したくなる。

振り返るとジュニアの時に海外で挑戦、長州(力)との抗争、前田(日明)との闘い…そして(アントニオ)猪木さんとの60分フルタイム…自分にとってはすべて挑戦だった。来年でデビュー55周年を迎えるんだけど、キャリアを重ねようが年齢が増えようが、挑戦したいという気持ちが抜けない。正直、他のスポーツで71歳で現役なんていないわけだから周りから見れば「71歳なのに…」っていう声もあるのはわかっている。だけど、そんな周りの声を抜きにしてこれは自分自身の挑戦。だから、勝負に出て行く」

 決戦に向け食事制限も行い肉体を研ぎすましている。

 「炭水化物を減らして野菜を多く取るようにしている。私生活からこうやって制限することでザック戦に向けて神経も集中するからいい効果になる」

 英国出身のザックは、同国伝統の「キャッチ・アズ・キャッチ・キャン」と呼ばれる正統的なスタイルを継承している。藤波もこのスタイルを海外武者修業中に“神様”カール・ゴッチから教えられ自らのスタイルを築いた。

 「ゴッチさんからは、相手が誰であれ『レスラーにとって一番大切なのはコンディションだ』と教えられてきた。以来、僕の中では、常にコンディションを作り上げることを意識してきた。ザック戦でもゴッチさんから教えられたものを実戦の中でどれだけ出せるか。そこがポイントになる」

 冒険と挑戦の11・14後楽園ホール。

そして来年はデビュー55周年を迎える。

 「まさか55年もリングに上がっているとは…僕自身が一番ビックリしている。ただ、来年のことはまだ考えられない。すべてはザック戦。言えることは、これからも自分との闘いが続いていく」

(取材・書き手・福留 崇広)

 ◆11・14後楽園全対戦カード

 ▼メインイベント スペシャルシングルマッチ 60分1本勝負

藤波辰爾 VS ザック・セイバーJr.

 ▼セミファイナル 45分1本勝負

長井満也 VS 永田裕志

 ▼第6試合 30分1本勝負

LEONA VS 征矢学

 ▼第5試合 30分1本勝負

船木誠勝 VS AKIRA

 ▼第4試合 30分1本勝負

越中詩郎 VS 黒潮TOKYOジャパン

 ▼第3試合 30分1本勝負

倉島信行 VS 小島聡

 ▼第2試合 30分1本勝負

田島久丸 VS 三州ツバ吉

 ▼第1試合 30分1本勝負

MAZADA VS 竹村豪氏

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