◆世田谷246ハーフマラソン(9日、東京・世田谷区駒沢オリンピック公園陸上競技場発着=21・0975キロ)

 例年、箱根駅伝に出場する各校にとってメンバー選考会としての意味合いが強く、「箱根駅伝の登竜門」とされるレースで、創価大の山口翔輝(2年)が1時間1分46秒の大会新記録で優勝した。ポール・クイラ(JR東日本)が同タイムの2位。

青学大の佐藤愛斗(2年)が1時間1分57秒で3位に入った。

 第102回箱根駅伝(来年1月2、3日)で3年連続9度目の優勝を狙う青学大の新勢力として期待される佐藤愛斗は、自己ベスト記録(1時間3分7秒)を1分10秒も更新して、チームトップの3位にも満足していなかった。「チームトップではなく、全体トップを目指していましたので。(同学年の)山口に負けたことは悔しいですね」と表情を引き締めたまま話した。

 佐藤の祖父、佐藤市雄さん(73)は旭化成時代に全日本実業団駅伝で史上最多の10回の区間賞を獲得した名選手。青学大の原晋監督(58)は「佐藤市雄さんと言えば『元祖・駅伝男』ですよ。愛斗も市雄さんのような選手になってほしい」と期待を込めて話す。 昨季、佐藤愛斗はルーキーながら強豪の青学大において最後まで箱根駅伝のメンバー争いに絡んだ。10区に登録されていたが、当日変更で同期の小河原陽琉(2年)に交代。佐藤愛斗は控えに回り、代わって走った小河原は、新人ながら歴代2位の1時間8分27秒の好記録で優勝のゴールテープを切った。

 「1月2日の夜に『交代』と言われるまで、自分が10区を走る準備をしていました。交代を告げられた時、とても悔しかったですけど、来年こそは箱根駅伝を走る、と決めました」と約10か月前の出来事は静かに振り返る。

 「元祖・駅伝男」と呼ばれた市雄さんを尊敬している。「じいちゃんのように駅伝で区間賞を取り続けられるような選手になりたいです。今度の箱根駅伝こそ10区を走りたい」と言葉に力を込めて話した。市雄さんには「自分のできることをやりなさい」とアドバイスを受けているという。佐藤愛斗が佐藤市雄さんのような勝負強さを備えた時、青学大の3連覇の可能性が高まる。

 ◆佐藤 愛斗(さとう・あいと)2005年10月31日、宮崎市生まれ。20歳。中学まではサッカー部。小林高入学後、本格的に陸上を始める。2、3年時に全国高校総体5000メートルに出場(いずれも予選敗退)。全国高校駅伝では2、3年時にともに3区21位。全国都道府県男子駅伝は2年1区31位、3年4区8位。

昨年4月に青学大コミュニティ人間科学部に入学。175センチ、55キロ。

 ◆佐藤市雄さん 実業団の名門、旭化成に所属し、トラックでも駅伝でも抜群の勝負強さを誇った。1971年の日本選手権5000メートル優勝。73年の日本選手権では5000メートルと1万メートルの2冠を果たした。全日本実業団駅伝では、19歳から33歳にかけて10度も区間賞を獲得した。その最多記録は現在も破られていない。旭化成の優勝には6回も貢献した。

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