巨人・田中将大投手(37)が18日、“ダルビッシュ超え”の日米通算209勝に向けて「一個一個」白星を積み重ねることを誓った。歴代1位で208勝のパドレス・ダルビッシュ有投手(39)とは8勝差。

プロ20年目に向けてG球場で自主練習し、強い競争意識を胸に2年連続の開幕ローテーション入り、年間フル稼働に狙いを定めた。尊敬する先輩を超えるべく、今季3勝からの巻き返しを期した。

 気温13度と肌寒い室内で、田中将は黙々と腕を振った。ダルビッシュ以来4人目となる日米200勝投手の看板を背負って迎える来季。オフに入ったばかりだが「健康なら1軍のマウンドに上がり続けられるかと言えば、そうじゃない。結果を出さなければ落ちる」と危機感をあらわにし、「一個一個」と白星への貪欲な思いを明かした。

 優勝へ腕を振った先に、日本人最多の日米通算209勝が待つ。移籍1年目は3勝4敗。自身が2ケタ勝利を目標に完全復活を期す中、歴代1位の日米208勝を誇るダルビッシュは右肘を手術して来季全休が決まった。楽天時代は同じパ・リーグで投げ合ってきた2大エース。08年北京五輪、09年WBCで共闘し、強くリスペクトを抱く存在だ。

 2歳上のレジェンドとは代表を機に絆を深め、食事にも行くようになった。

意見交換したのは一度や二度ではない。10月1日の200勝セレモニーでは「マサヒロは同志に近い。200勝が終わりではないし、これから210勝、220勝、250、300とあると思う。これからも一緒に頑張っていきましょう。またいつか、投げ合える日を楽しみにしています」と熱いビデオメッセージが届いた。「舞台は違うけど負けないように頑張りたい」と過去に話していたように、まだ衰えた姿を先輩に見せるわけにはいかない。

 NPB復帰後は22年の9勝が最多で昨季が0勝。今年は体を縦回転に使う新フォームが定着し始めた8月以降に状態を上げ、尻上がりでシーズンを終えた。指導してきた久保巡回投手コーチも「9~10勝ぐらいはできる計算。120~130イニングはいける力を十分持ってる」と来季に太鼓判を押す。

 成績を残すには年間のフル稼働が絶対条件。効率良く球に力を伝達するフォームの完全習得が鍵だ。

久保コーチは来春キャンプでも2年連続の塾開講を予告。来春はベテランに調整を一任する「S班」を設けない方針で最終的にはチームが決めるが、田中将も「見ていただけるならもちろん一緒にやりたい」と再度の“土台固め”を念頭に置いた。

 先発の競争は横一線。「若い時は確固たるポジションがあって、健康でさえいれば1軍ローテーションで回って中心としてやれた。今はそうじゃない。ダメなら落とされる。1軍でそこに入っていかないと」と開幕ローテ入りを第1目標に据える。田中将を熟知する名伯楽の見立て通りなら、日米209勝にたどり着く可能性は十分。1勝ずつ近づき、追いつき、追い抜く。それが41歳での復帰を目指す「ダルさん」のエールに応えることにもなる。(堀内 啓太)

 ◆田中将大とダルビッシュ 08年北京五輪で距離を縮め、田中将はダルから「まさお」と呼ばれて弟分に。大会中にはともに丸刈り頭に変身し、09年WBCでも共闘した。

11年にはハイレベルな沢村賞争いの末に田中将が受賞。ダルが12年に米移籍すると、田中将も後を追うように14年から海を渡った。17年6月にはメジャーで初めて投げ合い、田中将(ヤンキース)は8回無失点、ダルビッシュ(レンジャーズ)は7回無失点とともに好投した。

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