◆第56回明治神宮野球大会最終日▽大学の部・決勝 青学大4―0立命大(19日・神宮)

 大学の部では青学大(東都大学)が立命大(関西5連盟第2)を4―0で下し、2年連続2度目の優勝を達成した。連覇は史上6度目。

昨年に続き、決勝で先発した中日のドラフト1位、エース右腕の中西聖輝(4年)が17奪三振で2安打完封勝利。決勝で2年連続2ケタKは史上初となった。

 達成感がこみあげてきた。中西は、17個目の三振を奪って連覇を決めるとマウンドで捕手の渡部海と抱き合った。「うれしかった。頑張ってきてよかったと、強く思いました」。集大成の舞台で見せた最高の投球。大学最後の全国大会で初めて“胴上げ投手”になり、喜びに浸った。

 初回、先頭打者から伝家の宝刀のフォークで空振り三振を奪うと、4者連続三振に。佛教大との初戦では「使い物にならなかった」と首をひねった決め球をきっちり修正し「今日はいけるな、と思いました」。直球の最速は148キロで制球力も抜群だった。立命大打線を相手に、7回2死まで無安打投球を展開した。

 智弁和歌山のエースだった21年夏の甲子園で優勝投手に輝いた。「戦国・東都」と称されるレベルの高いリーグで通算17勝3敗。「負けない投手」と呼ばれるようになった。安藤寧則監督(48)は言う。「高校時代から“負けられない野球”をやってきた。だから、勝負どころを分かっています。私が助けられているほどです」。決勝は「真っすぐに張っている打者が並んでいる」とみるや、フォークやカーブなど変化球を主体に次々と空振りを奪った。

 「打ち取るパターンをいくつも持っているのは強み。1年目から楽しみです」。ネット裏には、期待を膨らませる中日・岡野スカウトの姿があった。「チームに勝利を持ってこられる投球を、ずっとしていきたい」。

史上3校目のリーグ戦6連覇と6校目の神宮大会連覇。青学大に2つの偉業をもたらした右腕は、胸を張ってプロの世界へ飛び込む。(浜木 俊介)

 ◆江川らに並ぶ2年連続決勝勝利 青学大・中西は昨年決勝(先発で11K)に次ぎ、2年連続決勝で2ケタ奪三振の勝利投手。2年連続決勝勝利投手は、76、77年江川卓(法大=完封、完投)、82、83年高野光(東海大=リリーフ2勝)、03、04年竹林俊行(東亜大=完投、完封)に次ぎ、4人目。先発で2年連続勝利は江川、竹林と3人目。決勝での2ケタKは、昨年の中西に次ぎ7度目(6人)で、1人で2度マークは中西が初。17Kは決勝での最多奪三振(決勝2ケタK完封は、74年中大・田村政雄、07年東洋大・大場翔太に次ぎ3人目)。

 ◆中西 聖輝(なかにし・まさき)2003年12月18日、奈良県生まれ。21歳。智弁和歌山では1年夏に背番号18で、3年夏にエースで甲子園出場。3年夏は3試合に登板し、智弁学園との決勝は6回無失点の好救援で優勝投手に。青学大では2年春にリーグ戦デビューし、通算32試合17勝3敗、防御率1.42。

今年は春秋とも最高殊勲選手、ベストナインに選出された。最速152キロで変化球はスライダー、カーブ、フォーク、チェンジアップ。182センチ、92キロ。右投右打。

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