歌舞伎俳優の市川團十郎が22日、都内で行われた来年1月の東京・新橋演舞場公演「初春大歌舞伎」(3~27日)の取材会に長女の市川ぼたん、長男の市川新之助と出席した。

 團十郎による新橋演舞場の正月公演は16度目。

これまでは「伝統の継承」「新時代の歌舞伎の創造」を掲げて古典の再構築や新作に挑戦してきたが、映画「国宝」(李相日監督)の大ヒットを背景に「今なら歌舞伎の古典作品を学んでみようと思ってもらえるのでは。古典だから、学ぶことで深みが増す」という思いで、時代物の名作「熊谷陣屋」の熊谷次郎直実、新歌舞伎十八番の「春興鏡獅子」小姓弥生後に獅子の精を勤める。

 「鏡獅子」では、ぼたん、新之助が胡蝶の精を勤め、親子3人の共演が実現する。團十郎は成田屋に伝わる新歌舞伎十八番の演目であることを踏まえて「ぼたん、新之助に経験させないといけない。身長がまだ伸びると思うので、一緒にやるのは最初で最後かもしれない」。演目の選定にあたっては、SNSでファンから「『鏡獅子』をやってほしい」と要望があり、それに応える形で実現したことを明かした。

 尾上左近が来年3月、3代目尾上辰之助を襲名することにより、新之助、6代目尾上菊之助と合わせて「令和の三之助」が誕生する。かつて尾上松緑、8代目尾上菊五郎と「平成の三之助」として注目された團十郎は「左近くんは19歳。新之助より7歳上。年の差を乗り越えて、新しい三之助として盛り上げてもらえたら、歌舞伎ファンは喜ぶかな」と歓迎。新之助も「左近さんには5月(團菊祭)にごあいさつをしました。仲を深めて、いつかは3人で同じ舞台に立ちたいと思います」と意欲を見せた。

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