◆プロボクシング ▽WBC世界バンタム級(53・5キロ以下)王座決定戦12回戦 〇同級2位・井上拓真(判定)同級1位・那須川天心●(24日、トヨタアリーナ東京)

 WBC世界バンタム級新王者・井上拓真(29)=大橋=が、同級1位・那須川天心(27)=帝拳=との同級王座決定戦の勝利から一夜明けた25日、横浜市の所属ジムで会見。朝にテレビの生出演があったため一睡もしていないという新王者は「ベルトを勝ち取ったっていうより、やっぱり、強敵である天心選手に勝てたことが一番ホッとしている」と心境を語った。

 また今後について、「自分としては盛り上がるカードっていうのをやっぱりやって行きたい。会長の話があれば、どんな相手でもやっていきたいと思っています」とビッグマッチを切望。兄・世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(32)=大橋=との兄弟での4団体統一も見据え「そこの目標は変わってないので、そこを目指してまたやっていけたらなって思います」と決意を新たにした。

 さらにはWBA同級王者・堤聖也(29)=角海老宝石=へのリベンジ、日本男子初の5階級制覇を目指し同級への転向を表明した井岡一翔(36)=志成=らとの対戦についても言及した。

 拓真は昨年10月、堤に判定負けしWBA同級王座から陥落した。堤は12月17日に東京・両国国技館で世界5階級制覇のWBA世界同級暫定王者ノニト・ドネア(42)=フィリピン=との対戦を控える。

 拓真は「(ドネア戦は)もちろん気になりますよ。ちゃんと(堤に)勝ってもらって、また自分が奪いに行くっていうのが理想的なんで」と語り、高校時代からのライバルへのリベンジをかけた王座統一戦について「そこも1つの案として考えていきたいですね」と前向きな姿勢を見せた。

 またスーパーフライ級からの転向を表明した元4階級制覇王者・井岡は、すでにWBCバンタム級5位にランクされる。拓真は「いや、それはもうモチベーションもめちゃくちゃ上がると思います。気持ちとしてはやっぱり、自分も盛り上がるカードはやっていきたいと思ってるんで、その時が来れば出たいですね」と天心戦と同様のモチベーションを引き出せる対戦相手だと話した。

 今回は王座決定戦でベルトを獲得したため、初防衛戦は拓真と天心を除きランク最上位となるWBC同級3位の元2階級制覇王者フアン・フランシスコ・エストラーダ(35)=メキシコ=となる可能性が高い。

「それに向けてしっかり仕上げるだけなんで。相手が誰であろうと、また強い井上拓真を作り上げるだけです」と迎え撃つ覚悟を示した。

 所属ジムの大橋秀行会長(60)は「エストラーダとの指名試合になったら、これはもう指名試合なんでしょうがない。あと堤聖也選手に雪辱するのもそうだし、井岡一翔選手も上がってくる。この辺とやっても面白い。面白い試合がたくさんあると思うんで、また楽しみ」とビッグマッチ実現に意欲。来年5月には東京ドームで井上尚弥と前WBC&IBF世界バンタム級王者・中谷潤人(27)=M・T=の対戦が計画されているが、拓真の初防衛戦についても「だから一緒になってもいいし、そこは臨機応変にいきます」と話した。

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