◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 この仕事をしていると、球界のイベントから季節の移ろいを感じることが多い。毎回、年の瀬を意識するのが、その年のプロ野球のタイトル獲得者らが一堂に会する「NPB AWARDS」。

11月26日に都内のホテルで開催された祭典でステージに立った阪神・佐藤輝、ロッテ・西川の晴れ姿を見ながら、私は侍ジャパン・井端監督の2つの予言を思い出していた。

 まずは2月だ。沖縄・宜野座の阪神キャンプを訪問した井端監督は佐藤輝を「この1年で40、50本塁打といける選手」と評した。球界屈指の和製大砲とはいえ、昨季まで2度のシーズン24本塁打が自己最多。失礼ながら「リップサービスかも?」と思った私が直後に理由を聞くと「打撃練習のスイング、打球を見ていたら、今年はかなり打つと感じました。まあ見ておいて下さいよ」。結果は40本塁打で優勝に貢献し、セMVPを獲得。予言は見事に的中した。

 次は5月。プロの壁にぶつかった西川の打率は1割台に落ち込んでいた。24年3月の欧州代表戦で当時、青学大3年だった西川を侍ジャパンに招集した井端監督に今後の見通しを尋ねると「類いまれな思い切りの良さ、スイングの力強さがあるから慣れれば大丈夫。まあ見ておいて下さいよ」。

こちらも結果は6月から急成長し、今季新人最多の117安打、リーグ6位の打率2割8分1厘でパ新人王に輝いた。

 ともに希望的観測などではなく選手の実力を見抜く野球眼のたまもので、23年10月の就任時の予言は「WBC連覇」。来年3月の大会後、笑顔の指揮官に予言の根拠を聞くのを楽しみにしている。(野球担当・阿見俊輔)

 ◆阿見 俊輔(あみ・しゅんすけ)2020年入社。芸能担当から始まった記者歴は約30年。

編集部おすすめ