巨人の坂本勇人内野手(36)が9日、都内の球団事務所で契約更改し、2億円減の年俸3億円(金額は推定)でサインした。減額制限いっぱいの40%減にも「まだまだ終わりたくない」と巻き返しへ決意。

シーズン後半以降、ギラギラとした“らしさ”が垣間見える坂本を、内田拓希記者が「見た」。

 坂本の表情に暗さはなかった。打撃不振で2度の登録抹消を経験し、出場62試合は1軍に定着した2年目以降で最少。「試合数が全然出ていないですし」と提示額を当然とばかりに受け止めた。淡々とした口調が熱を帯びたのは先発出場への思いを問われた時だ。「守備について走者に出て打撃をするのが野球の一番楽しいところ。もう一回、9イニング守れるように頑張りたい」。プロ入り後最大の減額幅も、闘志はむしろ燃えたぎっているように見えた。

 春先は“らしくない”コメントが続いた。不振で1度目の2軍降格となった4月は「何をしたらいいか分かっていない」。岡本の負傷離脱で緊急昇格した5月7日は「和真の代わりにはなれないけど精いっぱい」。不振でもさっぱりと切り替えて次の試合に向かういつもの姿とは、違っていた。

 そのトーンが変わったのは、球宴明けの7月下旬からだ。代打出場が続いたが「もっともっと、期待に応えられるようにやっていきたい」と前向きな言葉とともに、成績も右肩上がり。球団関係者によると、練習の打球速度やスイングスピードなどは打率2割8分8厘、22本塁打をマークした23年とほぼ同水準まで上昇。胸に秘めていたレギュラー奪取への思いをオフになって明かしたのも、確かな手応えを感じていることへの裏返しだと感じる。

 来季は岡本がメジャー挑戦で不在となる。主砲の穴は埋まるのか、という雑音が耳に届くが「主力の選手が出ていっても優勝しているチームはたくさんある。大丈夫です。若い選手、誰かしらレギュラーになる選手は絶対に出てくる」。その誰かしら、が完全復活を遂げた坂本であっても、全く不思議ではない。(内田 拓希)

 ◆勇人に聞く

 ―1月の合同自主トレに石塚が初参加する。

 「明らかに周りの18歳と(練習を)やっている量も違いますし、人としてしっかりしてるなと感じます」

 ―石塚に伝えたいこと。

 「僕も阿部さんに連れて行ってもらって最初はついて行くだけだったのが2、3年目はウェートも自分で考えるようになった。

裕惺も自分で考えてやってほしい。ただ、これだけ練習してからキャンプに入るんだ、というのは見せられたら」

 ―40歳まで現役を見たいというファンも。

 「何歳までしたいとか本当にないですし。もしかしたら来年、いいやってなるかもしれない。来年の自分すら想像できてないんで」

 ―光星学院時代を過ごした青森で地震。

 「青森に住んでいる人たちと連絡を取って、みんな大丈夫とは言っていましたけど。けがされた方もいるみたいなので、心配してます」

 ◆記録メモ

 ▼…坂本(巨)の来季推定年俸(単位は円)は2億ダウンの3億。巨人で2億以上ダウンは、4億5000万ダウンの16年杉内俊哉(年俸5000万)、3億6000万ダウンの13年小笠原道大(7000万)、2億ダウンの17年内海哲也(2億)、2億ダウンの22年菅野智之(6億)に次いで球団5人目。

 ▼…坂本は25年も1億ダウンで2度目の1億以上ダウン。巨人で1億以上のダウンが2度以上は、菅野が21年8億から22年2億ダウン(6億)→23年1億ダウン(5億)→24年1億ダウン(4億)の3度。内海が16年4億から17年2億ダウン(2億)→18年1億ダウン(1億)の2度で、坂本が球団3人目。

編集部おすすめ