◆第77回阪神JF・G1(12月14日、阪神競馬場・芝1600メートル)
2歳女王の座を争う阪神JF。坂本達洋記者が担当する「考察」キーポイント編は、長距離輸送がある関東馬のヒズマスターピースに注目した。
関西圏の競馬場で行われる阪神JFは、やはりホームの関西馬が有利な印象だ。過去20年間の勝ち馬を見ても、関西馬が14勝と結果を残している。キャリアの浅い2歳牝馬とあって、関東馬が長距離輸送や環境の変化などを克服しなければならない点は、大きなキーポイントの一つだろう。
直前に輸送するのではなく、栗東トレセンに滞在して負担を減らす中間の調整パターンは、今回はアルバンヌ(牝2歳、美浦・田中博康厩舎、父アドマイヤマーズ)が取り入れている。一方でその“栗東滞在”の先駆者とも言われる国枝調教師のヒズマスターピース(牝2歳、美浦・国枝栄厩舎、父スクリーンヒーロー)は、最後まで美浦で仕上げることを選んだ。その理由を指揮官に聞くと、「何にしても落ち着きがあるからいいよね。輸送したり環境が変わっても、どっしりとして大丈夫そうだからね」と、自信の口ぶりで答えが返ってきた。
これまで阪神JFで2勝を挙げて、過去9度の挑戦をしてきた国枝師は、23年のステレンボッシュ(2着)の時は同じ赤松賞を使った後、栗東滞在で臨んでいた。「いろんな方法を試してきて、ピリピリしやすい馬などいい方向になる馬もいる」と、そこは柔軟なやり方で好結果を生み出してきたことがうかがえる。
今年7頭いる関東馬はショウナンカリス(牝2歳、美浦・加藤士津八厩舎、父リアルスティール)やラスティングスノー(牝2歳、美浦・池上昌和厩舎、父モズアスコット)など、関西への輸送を経験済みの馬が多く、そこまで「割引材料」にはならないとみる。ちなみに過去10年間でキャリア1戦の馬は11頭が出走して、【01010】と振るわない。やはり少しでも経験値が多い方が、有利な点も忘れてはならない。
(坂本 達洋)



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