メッツを中心にヤクルト・村上宗隆内野手(25)、巨人・岡本和真内野手(29)を含む“一塁手争奪戦”が激しさを増していく気配が漂ってきた。メッツからFAとなっていたP・アロンソ内野手(31)が10日(日本時間11日)、オリオールズと5年1億5500万ドル(約242億円)で合意したと複数の米メディアが報じた。

身体検査を終えてから正式発表される見込み。通算264本塁打の大砲の新天地が決まり、同ポジションの日本人スラッガー2人に注目が集まる。

 米フロリダ州オーランドで行われているウィンターミーティング(WM)の会場にまた衝撃が走った。アロンソがオリオールズ史上2番目の高額で移籍することが報じられた。一塁手としては史上最高の平均年俸(約48億4000万円)になるという。例年通り、WMに入って大型契約がまとまり出した。

 前日には、シュワバーが5年1億5000万ドル(約235億5000万円)でフィリーズと再契約で合意。FAの目玉の去就が決まったことで移籍市場が活性化。通算264本塁打のアロンソを狙っていた球団は今後、他の一塁手獲得にシフトするため、ある代理人は「(ヤンキースからFAの)ベリンジャーの価値が一気に上がったし、村上、岡本への関心も一段と高まるはず」と争奪戦が加速すると予測した。

 注目はメッツだ。前日に通算253セーブの守護神ディアスがドジャースに移籍することが伝えられたが、翌日には主砲まで退団が報じられた。3年連続20本塁打のニモも11月のトレードでレンジャーズに放出しており、来季は近年のチームを支えてきた3選手が一気にニューヨークを去ることになった。

 一塁を守れ、打線の核を担える選手になり得る存在が村上だろう。スターンズ編成本部長は8月に村上を視察するために来日。同12日のDeNA戦(神宮)で特大のサヨナラ2ランを見届けた。WM期間中にも村上を「パワーも抜群で、どんなキャリアを築いていくか楽しみ」と高く評価していることをうかがわせる場面があった。球団では04~06年の松井稼頭央以来となる日本人内野手の誕生へ機運が高まっている。

 「1億ドル(約155億円)規模の契約」になるとも言われる村上争奪戦。それでも、豊富な資金力を誇るメッツが“本気”にならざるを得ない状況となった今、22年オフに吉田正尚がRソックスと結んだ5年9000万ドル(約124億円=当時のレート)を超え、日本人の新人野手最高額となるのはほぼ間違いない情勢だ。(中村 晃大)

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