◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 米国時間5日、26年サッカーW杯北中米大会の組み合わせが決まった。現代サッカーはデータなどの分析力が勝敗を分ける。

さらに進化は続いている。

 「分析」といった2文字で脳裏に浮かぶのはサッカー08年北京五輪代表の反町康治監督(現Jリーグ・清水エスパルスGM)だ。松本山雅FCの監督時代には前後半で風向きが変わることまで把握し、常に追い風になるコートサイドの選択を指示するなど、分析は細部に及んでいた。

 “ピッチ外の分析”もスゴ腕だった。ある日の北京五輪代表合宿。練習後のミックスゾーン(取材エリア)で取材をしていた。ある選手が「記者さんって一番聞きたいことは二番目に聞くみたいですね」と口にした。「え? そんなこと誰が言ってるの?」と聞き返すと「ソリ(反町)さんが言ってました」との返答が。確かにいきなり最初に核心に迫る質問はしない。限られた時間で話を引き出す時、二番目、三番目に本題に入りがちだった。さすがはJ発足時にプロ契約をせず、全日空の社員(選手)としてパイロットのスケジューリングまで担当したやり手。かゆい所にも手が届く緻密(ちみつ)な分析は記者にも及び、考えさせられた。

 五輪代表で“反町チルドレン”と言えば長友佑都本田圭佑内田篤人…。そうそうたるメンバーがその後の日本代表の中軸を担った。今やそれぞれがいろんな分野で活躍している。私自身もピッチ外で育てられた1人。反町GMの奮闘も日々気になる。チルドレンの1人として、自分も負けていられない。(野球担当・恩田 諭)

 ◆恩田 諭(おんだ・さとし) 2001年入社。23年からプロ野球記録担当。好きな言葉は「情熱と誇り」。

編集部おすすめ