第102回箱根駅伝(来年1月2、3日)で50年連続95回目の出場となる伝統校の早大が13日、埼玉・所沢市の所沢キャンパスで合同取材会を行った。出雲駅伝2区で9人ごぼう抜きで首位に押し上げたエース山口智規(4年)、前回の箱根駅伝5区2位で「山の名探偵」の愛称を持つ工藤慎作(3年)、スーパールーキーの鈴木琉胤(るい)の「3本柱」をはじめ、16人の登録メンバーが元気な姿を見せた。

 花田勝彦監督(54)は「箱根駅伝で優勝するために1年間、取り組んできました。総合優勝するためには往路で勝たなければならない。往路でどこれだけ貯金を作れるか、が大事になります」と話す。そのレースプランのキーマンとなるのが、エースで主将の山口智規だ。

 箱根駅伝では3年連続で2区出陣が濃厚。2年時は1時間6分31秒で区間4位と好走し、12位から4位に浮上。8人をごぼう抜きした。しかし、3年時は1時間7分1秒で区間12位と苦戦し、逆に4位から12位に後退。8人に抜かれた。花田監督は「前回は失敗レースでした。前半を突っ込んで(ハイペースで走り)後半に苦しんだ。『次は前半ハイペースでも後半、そのまま耐えたいね』と智規と話しています」と明かす。

山口智規自身「前回はオーバーペースと言われて悔しかった。今回、リベンジしたい」と意気込む。

 チームとしても、個人としても最大のライバルが青学大の黒田朝日(4年)。「前回、黒田君に抜かれた時、全く対応できませんでした。前回の箱根駅伝も、今季の全日本大学駅伝7区(黒田朝日は区間新の区間賞、山口智規は区間4位)でも次元が違うと感じました」と山口智規はライバルの力を率直に認める。その上で「今回、黒田君は1時間4分台に近づくと思います」と区間記録(1時間5分31秒、東京国際大エティーリ)の更新も予想した。

 ただ、早大のエース兼キャプテンとして黙って引き下がるつもりはない。「前回は全く対応できませんでしたが、今回は並走したい。常にマイペースで走る黒田君を焦らせるような走りがしたい。なかなか、焦らない、と思いますけど。(1区の選手から)タスキをもらう位置が重要になりますね」と冷静にレースプランの一端を明かした。

 11年の箱根駅伝優勝に大きく貢献した早大の大先輩の大迫傑(34)=リーニン=の存在は、大きな励みとなっている。

7日にスペイン・バレンシアマラソンで2時間4分55秒で走破し、3度目の日本記録をマークした。「本当にすごいと思いました。華のある選手です」と山口智規は感嘆する。

 大迫が2015年にマークした5000メートル13分8秒40の日本記録は10年たった今でも破られていない。卒業後、SGホールディングスでトラックをメインに競技を続ける山口智規は「大迫さんの5000メートルの日本記録は更新しなければならないと思っています。来年、チャンスはあるでしょう。目指すべきところは、そこではない時代に入っていますので」と意欲的に話した。

 「箱根から世界へ」。早大のエースとして箱根駅伝の理念を体現する使命がある。

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