◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 今年4月、Jリーグはアジアで初めてスポーツ・ポジティブ・リーグ(通称SPL)への26年1月からの参加を決めた。クラブの環境への取り組みを数値化するもので、英国を発祥としイングランド・プレミアリーグ、同2部、ドイツ、フランスに続き、5番目の加入となる。

Jリーグは気候変動問題の解決に向け、地球環境を持続可能にするサステナビリティー事業を23年から本格的に推進。元日本代表MF小野伸二さんを招いて、昨年春から全国行脚を始め、サッカー教室と「サステナトーク」という次世代への啓発を行う。

 10月にロンドンを訪れ、SPLの主催団体のサミットに参加したJリーグ執行役員でサステナビリティー担当の辻井隆行さんは「一足飛びにはいかないが、クラブでいい事例をつくって社会にいい影響を与える。社会が変わったらクラブもやりやすくなる。そのサイクルをつくるのは大事」と実感を込めた。

 J2水戸(来季J1)、J3鳥取がソーラーシェアリング事業(農地に太陽光パネルを設置し、農作物の栽培と発電を行う)を実施しているのも気候アクションの重要な一歩だ。

 気候変動がサッカーに与える影響は非常に大きく、18年以降、台風などによる試合中止が17年以前の約5倍に達した。温暖化の影響で熱中症リスクも高まり、夏場の屋外スポーツ実施も懸念されている。SPL導入でJ60クラブの取り組みを細かく公表し、順位づけするのも「これだったらうちもできる、などリーグ全体で良くしていくことが目的」と辻井さん。一人ひとりが環境へ意識を持つきっかけとしたい。(サッカー担当・岩原 正幸)

 

 ◆岩原 正幸(いわはら・まさゆき)2004年入社。25年から現職。

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