楽天のドラフト2位、早大の伊藤樹投手(22)が14日、東京・東伏見の安部球場でイベント「あそびパークWASEDA」に参加。小学生110人とふれ合った。

東京六大学野球リーグ通算22勝(5敗)をマークしたエースは来季の目標を漢字一文字で「学」とし、貪欲に吸収する構えを示した。

 早大野球部員と一緒に遊ぶ小学生の楽しい声が、西東京の空に響いた。「子供たちの外あそびの減少」という社会課題にアクションする早大野球部OB会のプロジェクトは、2015年以来9度目。初参加となった伊藤は積極的に子供たちに声をかけ、緊張を解きほぐし、一緒にグラウンドを駆け回った。

 「こうやって施設を使って遊ぶっていう感じは初めてなので、すごく楽しい。なかなかない機会なので、楽しくやってます。秋田出身なので、公園なり、田んぼなりで散々遊んできた。東京を見るとそういう場所が少ないかなって思うので、本当にみんな広々と動けて、いいなと思います」

 今春は明大を相手にノーヒットノーランを達成。最後は怒濤の5連投でチームを5連勝に導いた。明大との優勝決定戦では9回を投げきり、3季連続の胴上げ投手になった。7月の日米大学野球選手権でも侍ジャパン大学日本代表のエースとして日の丸の5戦5勝に貢献。秋には小宮山悟監督(60)が現役時代に挙げた通算20勝を上回り、「小宮山超え」の22勝で大学生活を終えた。

そんな1年を漢字一文字で表すと…の問いに、こう答えた。

 「『示』です。ワセダ4年目で、立ち居振る舞いとか、実力を示すドラフトがあるというところで、自分の価値をどれくらい示してきたかなとか…それをこの1年間、一番考えてやってきた。あんまり見栄えのいい字ではないかもしれないですけど一番、この1年の字かなと思います」

 ならば来年は。クレバーな22歳らしく、言った。

 「『学』にしたいです。アマチュア野球との違いとか、どれくらい自分がやれるのか。1試合1試合、1イニング1イニング、1球1球に学びを得て、フィードバックをして、いい成績を残したいと思います」

 チームメートの巨人ドラフト2位・田和廉投手(22)とは、交流戦か日本シリーズで、将来的に投げ合う可能性もある。瞳を輝かせ、夢の対決へ心を弾ませた。

 「(田和が)先発をやるという話をかすかに聞いているので、先発で投げ合えたらいいですし、すごい楽しみだなと思います。敵としてなので、リリーフで田和が出てきた場合、負けている展開になるので、なんとか出させないように。先発で投げ合えることが一番かなと思うので、さすがに負けないように頑張りたいなと思います」

 先発完投型の絶対エースとして4年間、神宮のマウンドを守り通してきた誇りが、言葉の端々に漂った。

 「強みは投手としての総合力。あとは足りないところを補っていくのは僕の良さ。もうワンステップずつ着実に上がっていくことを、変わらずやりたいなと思います」

 「WASEDA」のユニホーム姿も、この日で見納め。勝負のプロ1年目。みちのくのファンを笑顔にするため、威風堂々と右腕を振る。(加藤 弘士)

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