第102回箱根駅伝(来年1月2、3日)で、東海大は2年ぶりに復活出場する。主将でエースの花岡寿哉(4年)は、予選会敗退を喫した前回の“悪夢”を晴らすため、花の2区で快走して、チームの5年ぶりのシード権(10位以内)奪回を誓う。

19年の第95回大会で悲願の初優勝を遂げた後、成績は下降。「湘南の暴れん坊」の異名を取り戻す戦いに臨む。

 こんなはずではなかった。花岡は苦い表情で昨季を振り返る。昨秋、予選会でまさかの14位敗退。12年ぶりに本戦出場を逃した。「予選会で落ちた当初は夢であってほしい、という気持ちでしたが、今年1月の箱根を見て、東海大学がいないという現実を実感しました」と振り返る。

 チームメートは観衆整理などを行う走路員として箱根を陰で支えた。花岡は1月中旬の全国都道府県男子駅伝で長野代表に登録され、練習があったために選手寮で待機。テレビ観戦を終え、30キロ走を行った。「次の箱根は絶対に走る、という思いだったので勝手にペースが速くなりました」。“悪夢”のような現実を受け止め、学生ラストシーズンに向けて走り出した。

 雪辱を期す今季、発奮材料となった人物がいる。長野・上田西高の同級生で、プロ野球・巨人の笹原操希外野手(21)だ。4月14日に育成から支配下選手に昇格。同16日にプロ初出場し、翌日、プロ初安打を放った。白馬中時代に大町リトルシニアで硬式野球に熱中していた花岡は、プロ野球選手になることの難しさや価値がよく分かる。「高校時代、運動部の同じ寮で暮らしていました。1軍の試合でヒットを打って、すごいですよ」と力説する。

 笹原はシーズン終了後、育成選手に戻った。来季、再び1軍昇格を期すヤングGと箱根路で復活を狙う東海大エースは重なる部分が多い。現在、直接、連絡を取り合うことはないというが、同じ寮で3年間を過ごした笹原について「また、1軍でプレーしている姿を見たい」と期待を込めた。

 前々回、花岡は「花の2区」を走り、1時間7分37秒で区間13位。今回も2区が濃厚。

「1時間6分前半で走りたい」と前回の区間7位相当のタイムを目標に挙げる。「入学前に思い描いていた通りにはいかないことが多かったが、最後はみんなで笑って大手町のゴールを迎えたい」。5年ぶりのシード復活へ。東海大のエース兼主将は実感を込めて話した。

(竹内 達朗)

 ◆花岡 寿哉(はなおか・ひさや)2003年6月10日、長野・白馬村生まれ。22歳。白馬中時代は硬式野球に励みながら駅伝に出場。上田西高3年時、全国大会で上位争いできる実力がありながらコロナ禍の影響で予選の県大会を欠場。22年に東海大情報理工学部に入学。自己ベストは5000メートル13分28秒18、ハーフマラソン1時間1分9秒。卒業後、チームメートの兵藤ジュダとともにホンダで競技を続ける。175センチ、58キロ。

 ◆笹原 操希(ささはら・みさき)2004年2月9日、長野市生まれ。21歳。小学3年から長野南リトルで野球を始める。上田西では3年春に甲子園出場。高校通算33本塁打を放ち、21年育成ドラフト4位で巨人入団。今年4月に支配下昇格し、11月に育成再契約。180センチ、86キロ。右投右打。来季推定年俸600万円。

編集部おすすめ