第102回箱根駅伝(来年1月2、3日)で64年ぶりのシード権獲得を目指す立大は、復活したエースの馬場賢人(4年)が目標達成の鍵を握る。1年時から箱根を走り続けるエースは、故障続きの苦しいシーズンを乗り越え、学生3大駅伝ラストランとなる箱根で、チームのために全力を注ぐ。

史上最長ブランクの55年ぶり復活出場を果たした23年に1年生だった世代が、最上級生となり、立大の歴史をさらに一歩前進させる。

 64年ぶりの10位以内へ、復活したエースの力が不可欠だ。立大は12月初旬に千葉・白子合宿を行い、選手選考などを最終確認。別メニューながら、力強い足取りで練習をこなした馬場は「このまましっかり練習して箱根を迎えられれば、何の心配もない。自信を持って臨みたい」と言い切った。希望は2年連続の2区で「前回(1時間6分32秒)以上のタイムを出したい」と、頼もしい最上級生の姿があった。

 まさかの失速だった。今年2月の日本学生ハーフマラソンで2位に入り、7月のワールドユニバーシティゲームズで4位入賞。大学駅伝界で存在感を示した。ただ、夏合宿前に左足足底、右膝などを故障。十分に練習が積めない中で10月の箱根予選会に急ピッチで合わせ、本番1週間前に腰の下の仙骨を疲労骨折した。「気持ち的にはだいぶ、きましたね」

 昨年の箱根予選会では、チーム1番手で、トップ通過に貢献した。

今年の予選会は「自分がいなくても通れる。頑張れ」とチームを送り出し、10位ギリギリでの通過。全員が必死につかみ取った本戦切符だった。馬場は安堵(あんど)する仲間たちを見ながら「一番最後にチームの目標、シード権獲得が達成できるように。4年生としてしっかりとした走りがしたい」と本戦への思いを新たにした。

 大学4年間で初めて大きな故障を経験したことで「一日の練習の疲労を取りきらないと、ダメージになる」と気付きもあった。セルフケアに重きを置いていなかったが、夏からはマッサージなどを継続。走れない期間も体幹を中心に鍛えたことで11月初旬の走り始めはスムーズだった。高林祐介監督(38)も「箱根では、しっかりと走ってくれる準備ができている」と期待する。

 故障しても「落ち込まずに、切り替えようって思っていました」と物事を冷静に受け止められることも、馬場の強み。史上最長ブランクの55年ぶり復活から4連続出場。「大きく成長したチーム。

ここで頑張らないとって思う」。悲願のシード獲得で、立大は新たな一歩を踏み出す。(手島 莉子)

 ◆馬場 賢人(ばば・けんと)2003年11月11日、福岡市生まれ。22歳。長丘中から大牟田高に進み全国高校駅伝は1、2年時に出走。卒業後は立大のコミュニティ福祉学部スポーツウエルネス学科に進学。箱根駅伝は1年時4区16位、2年時3区8位、3年時2区7位。今年2月の日本学生ハーフマラソンでは、日本人学生歴代3位となる1時間0分26秒で2位に入り、7月のワールドユニバーシティゲームズ(ドイツ)4位。

 ◆立大 1920年創部。箱根駅伝は34年に初出場し、57年に最高の総合3位。27度目の出場だった68年(11位)を最後に箱根路から遠ざかっていたが、2023年大会で55年ぶりに出場し18位、24年は14位。出雲駅伝は出場なし。

全日本大学駅伝は24年に初出場。練習拠点は埼玉・新座市。タスキの色は江戸紫。長距離部員は37人、学生スタッフ11人。主なOBは36年ベルリン五輪800メートル代表の青地球磨男、16年リオ、21年東京両五輪女子20キロ競歩代表の岡田久美子ら。

編集部おすすめ