フィギュアスケート全日本選手権 兼ミラノ・コルティナ五輪最終選考会 第1日(19日、東京・代々木第一体育館)

 26年ミラノ・コルティナ五輪代表が決まる全日本選手権が開幕。男女のショートプログラム(SP)が行われ、女子は5連覇を狙う坂本花織(25)=シスメックス=が、今季世界最高(国際スケート連盟非公認)79・43点で首位。

優勝での一発内定に王手をかけた。フリーは男子が20日、女子は21日に実施。男女代表は21日に発表される。

 氷上の真ん中で坂本は、温かな拍手と喝采を体中で浴びた。13度目の全日本、現役最後のSPはパーフェクト。前の組で17歳の島田が記録した今季世界最高得点を0・1点上回ると、白い歯がこぼれた。「(演技が)終わってリンクが(応援タオルの)オレンジに染まっていた。たくさんの人に見守られながら進めていたんだなと、すごく実感した」。女子初となる五輪3大会連続出場に王手をかけた。

 圧巻だった。冒頭の3回転ルッツから3本全てジャンプを成功。ステップ、スピンを全て最高レベルでそろえ、技術点で島田を下回った5・32点は、演技構成点で5・42点挽回した。

今季新調した応援タオルはこの日、開場から数時間で数百枚が完売。ファンに向けて「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」を舞い「ありがとうございます」の思いを2分50秒に込めた。

 現役ラストシーズン。大会前に、地下鉄・表参道駅の通路に「いつも応援してくださる皆様へ」という坂本の“直筆手紙”が公開された。「自分一人だったらこんな景色も見られなかった。いろんな人に、感謝を伝えたいと思って書きました」。きれいに書けるまで8回、書き直した。18日の開会式後には、選手数人で現場を訪れ「あんなに大きく出るとは。ちゃんと書いていて良かった」と、持ち前の明るさで笑わせた。

 伊藤みどり以来、史上5人目の全日本5連覇なら、五輪一発内定。坂本は0・1点差につける島田に「怖い怖い怖い…」としつつ「でも、こっちの方が燃えるので。好きです」と、勝負師の心がのぞく。

「連覇というよりは、オリンピックの内定を決めたいという思いが一番なので。そこを一番に、考えています」。21日のフリーは泣いても笑っても、現役最後の全日本での演技。スケート人生の集大成を、日本中のファンに届ける。(大谷 翔太)

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