巨人・西舘勇陽投手(23)が20日、岩手県内で野球教室に参加。花巻東の大先輩のエンゼルス菊池雄星投手(34)との自主トレで得た学びを生かし、来季フル回転することを目標に掲げた。

セ5球団に対し先発で未勝利の右腕は「雄星さんにいい報告ができるように」と活躍での恩返しを誓った。

 尊敬する大リーガーから多くを学んだ。小学生向けの野球教室を終えた西舘は今月、花巻市内で菊池と約10日間合同トレーニングを行ったことを明かした。勇気を出し、高校時代にあいさつしたことがあった10歳上の先輩にLINEを送って実現。「オフにどういう動きをしていいかあまり分からない中で、海の向こうでもプレーされている先輩に教えていただきたいと思いました」。殻を破るために見て、聞いて、雄星イズムを初めて吸収した。

 〈1〉思考 1日約3時間のハードトレでまず教わったのが頭を使う重要性。「自分がこうなりたい、という目的があって行動する」。各メニュー前に全ての意図を説明してもらってから取り組むと、練習の質が劇的に変わった。

 〈2〉肉体強化 菊池の強じんな体を見て「めちゃめちゃデカイ」と驚がく。メニューの中には「そもそもできないのもあった」と筋力差を痛感したが「雄星さんはそのあと普通にキャッチボールしてるので。積み重ねを感じた」。

自身は今年、右肩痛での離脱も経験。「野球はうまいから。あとはフィジカル」と傷害予防の面でも体を大きく強くすることを勧められた。185センチ、88キロの体は変わり始め、体脂肪率を落としつつ体重増に成功している。

 〈3〉準備 球威や質以前に「投げる前段階の準備がスゴイ」と発見。キャッチボール中も毎球、投球動作に入る前のセットポジションの決め方から強くこだわっている姿などを見て学んだ。逆に菊池からは「その投げ方でよく150(キロ)出るね。もっと伸ばせるよ」と助言が。「フィジカルだけでなく技術、フォーム面もまだ全然伸び代があるんだなと。伸び代だけで終わるのか、モノにして変われるのかは自分次第」とこの期間を振り返った。

 今季は交流戦中に先発初勝利を含む2勝。昨年阪神戦でのプロ初勝利は救援勝利で「(先発で)セ・リーグ相手に1回もまだ勝ってないので。

来年は開幕からずっと」と初のローテ定着からセ・リーグ5球団をねじ伏せにかかる。23年のドラ1右腕も来季が3年目。「高卒じゃないので。戦力として見られての入団」と危機感は募っている。「来年もまた雄星さんの自主トレに行きたい。その時に『今年こうでした』といい報告ができるようにしたい」。1年後、胸を張って雄星先輩と再会する日を思い描いた。(堀内 啓太)

 ◆G西舘のプロ2年間 ルーキーイヤーの昨季はリリーフで開幕1軍入り。新人では史上初の開幕から10試合連続ホールドをマークするなど28登板で1勝3敗1セーブ20ホールド、防御率3.82。プロ初先発した8月23日の中日戦(東京D)は5回4失点で黒星を喫した。2年目も中継ぎスタートで、今季初先発した6月11日のソフトバンク戦(みずほペイペイ)で7回3失点で先発初勝利。交流戦で2連勝したが、その後右肩痛を発症し計15登板(7先発)で2勝3敗、防御率4.22に終わった。

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