◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」
言葉では言い表せない、独特な雰囲気に包まれていた。兵庫・西宮市の甲子園歴史館で、4日から一般公開されている「藤村富美男監督退陣要求書」。
「藤村富美男監督退陣要求書」とは、1956年11月20日に当時の阪神監督・藤村富美男に対し、金田正泰を中心とした選手らが解任を求めた連判状。同年11月から12月にかけて、球団側と対立した内紛は約50日間に及んだという。恥ずかしながら退陣要求書が一般公開されるまで、その事実を知らなかった。同時に、ある疑問が浮かんだ。
今年4月に亡くなった通算320勝投手の小山正明さんから、藤村さんに対する思いを何度も聞いた。「僕が『ミスター・タイガース』と呼ぶのは、藤村さんだけや。あの人には本当にお世話になった。すごい人やった」。だが、小山さんも連判状に名が刻まれている一人。どんな心境で筆を取ったのか。本意ではなかったのではないか。
阪神・粟井球団社長は、同じく連判状に名が刻まれ、今年2月に亡くなった吉田義男さんから「あの頃は一番若手。連判状は書いたけど本来、藤村さんをそんなふうに思っていない」と聞いたことがあるという。当時の電鉄本社、球団、選手を取り巻く環境など、黒歴史ともいえる排斥運動には、やむを得ない事情があったのかもしれない。
読者の皆さんも一度、甲子園歴史館に足を運んで連判状を見てほしい。歴史的な“お家騒動”の真相を知りたくなるはずだ。(阪神担当・中野 雄太)
◆中野 雄太(なかの ゆうた)2022年入社 静岡県生まれの35歳。小学3年から大学4年まで野球一筋。23年は巨人担当、24年から阪神。










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