第102回箱根駅伝(来年1月2、3日)で3年連続56回目の出場となる神奈川大は、9大会ぶりのシード権奪回を目指す。1997、98年大会で総合連覇を飾った強豪の再浮上へ、期待のキーマンが新妻玲旺(れお、3年)だ。

プラウドブルー復活へ、発奮材料として来季、大学陸上界に入ってくる弟2人、兵庫・西脇工で『歴代最強ツインズ』と呼ばれる双子の存在を挙げた。

 強い覚悟を胸に箱根路へ向かう。箱根駅伝7区を2大会連続で務めてきた新妻は、今年7月にケガを負い、夏合宿は全休。10月の箱根予選会も欠場した。「9月にようやく走り始めて、不安しかなかった」という。それでも11月の上尾シティハーフマラソンで中野剛監督(52)から「往路を走れるレベルに仕上げなければ使わない」と厳しい条件を突きつけられ奮起。本番を想定した攻めの走りで1時間2分16秒をマークし、底力をみせつけた。

 奮い立たせる強烈な存在がいる。全国で活躍する高校3年生の双子の弟たちだ。双子の兄で次男の遼己(はるき)は、7月のインターハイ5000メートルで留学生を抑え、32大会ぶりに日本人V。世界クロスカントリーU20日本代表にも選出された逸材だ。弟の昂己(こうき)も5000メートルで高校トップレベルの14分4秒20をマーク。

そろって挑んだ兵庫県高校駅伝では、ともに区間新をたたき出して西脇工を2年連続の全国高校駅伝へ導いた。

 そんな弟たちを新妻は「小さい時から2人は、自分より何倍もセンスがある」とたたえる。だが、同時に「兄として情けない姿は見せたくない」と弟たちが全国を席巻すればするほど、長男の意地も増す。23年の全国都道府県駅伝では3兄弟が兵庫代表に名を連ねた思い出も。地元の加古川市でプチ騒ぎになり「人生で一番サインを書いた」と笑った。

 神奈川大としては9年ぶりのシード権奪回の至上命題を背負う。2年連続で走った7区はともに区間18位と苦戦。「これまでは自信のない状態でスタートラインに立っていた。今回は自信を持つ準備はできている。区間一桁で走ってシード権を呼び込む」とめらめら。弟たちが都大路を沸かすなら、兄は古豪復活の起爆剤となって箱根路を沸かせる。(綾部 健真)

 〇…新妻玲の2人の弟はこの日、兵庫・西脇工の主力として全国高校駅伝で好走した。

遼己は1区2位、昂己主将は3区6位でチームの6位入賞に貢献。来春、遼己は早大、昂己は神奈川大に進学予定。来季、新妻兄弟の対決やタスキリレーが箱根路で見られそうだ。

 ◆新妻 玲旺(にいづま・れお)2004年11月3日、兵庫・加古川市生まれ。21歳。平岡中入学とともに陸上を始め、西脇工時代の23年に全国都道府県対抗男子駅伝で、双子の弟2人とともに3兄弟で登録メンバー入り。23年に神奈川大人間科学部に入学。学生3大駅伝は1年時の箱根7区18位、2年時の箱根7区18位。ハーフマラソンの自己記録は1時間2分16秒。184センチ、66キロ。

 ◆神奈川大 1948年創部。箱根駅伝は前身の横浜専門学校時代を含め、通算55回出場。

97年に初優勝し、98年に連覇を達成。96、97年度には全日本大学駅伝も連覇し、黄金時代を築いた。出雲駅伝は97年、02年の2位が最高。長距離部員は38人、学生スタッフ7人。練習拠点は横浜市。タスキの色はプラウドブルー。主なOBは男子マラソン前日本記録保持者の鈴木健吾ら。

編集部おすすめ