第102回箱根駅伝(来年1月2、3日)で優勝10度の日体大は、継続中では大会最長の78年連続78回目の出場。4年連続でエントリーされた平島龍斗(4年)は、10月の予選会を日本人2番手の個人8位で走り、伝統校のタスキをつなぐ原動力となった。

11月の記録会では1万メートルで日体大新記録の27分56秒84をたたき出し、乗りに乗っている。成長著しいエースが、2018年以来、8年ぶりのシード権(10位以内)をもたらす。

 心身ともに充実した平島が日体大躍進のキーマンだ。出走すれば自身3度目の箱根路。「4年間で一番納得のいく走りをしたい。任された区間をしっかり走りたい」と覚悟を口にした。

 箱根では過去2度1区で走った。24年は区間最下位の23位に沈んだ。最後にタスキを渡し、スタートでの大きな出遅れに涙した。悔しさを胸に刻み、前回25年は区間3位と雪辱。「華がある。駆け引きがあるのと、駅伝は流れが大事なので、スターターとしての魅力がある」と3年連続の1区を希望する。

 古豪の重圧を力に変える。10月の予選会は日本人2番手となる個人8位でゴールし、チームをけん引した。歴代の先輩たちが大切につないできた伝統のタスキ。78年連続出場がかかるプレッシャーの中で力走した。ただ、チームは9位でギリギリの通過に「自分が留学生と競って、もっとタイムが稼げていたら。力不足」と満足はしなかった。

 試行錯誤を続けながら11月、1万メートルで27分56秒84をマーク。26年に創部100年を迎える伝統校で、20年池田耀平の日体大記録を5年ぶりに1秒68更新した。日体大の長距離競技会で出したこともあり、「トラック1周、全部でチームメートが応援してくれたおかげ」と仲間に感謝しつつ、「箱根駅伝では1万メートル27分台の力がないと戦えない」と手応えもつかんだ。

 成長の裏には意識改革がある。シード権を逃した前回の箱根後、「練習やレースでは弱いところを見せない」とエースとして誓いを立てた。今季は最上級生となりチーム内でも指導する立場。

「後輩に声をかけたり、自分に生かされることも多い」。その責任感が自身の走りにも好影響を生んだ。山上り5区を希望する選手との練習にも取り組んだ。今年の夏合宿は初めて計1000キロを走破した。

 苦手の上りも克服し、力量的に2区を任される可能性もある。箱根での集大成へ「出し切ることだけを意識してやっていきたい」と決意表明。8大会ぶりのシード奪回を狙う古豪のスタートダッシュに、平島は欠かせない(富張 萌黄)

 ◆平島 龍斗(ひらしま・りゅうと)2003年11月3日、神奈川・綾瀬市生まれ。22歳。相洋高から22年に日体大体育学部入学。2年時は箱根駅伝1区23位。3年時は全日本駅伝1区区間賞、箱根1区3位。4年時は全日本2区7位。

自己ベストは1万メートル27分56秒84、5000メートル13分42秒84、ハーフマラソン1時間1分2秒。

 ◆日体大 1926年創部。箱根駅伝には49年に前身の日本体育専門学校が初出場。以来、78回連続出場中。優勝10回。全日本大学駅伝は優勝11回。出雲駅伝は最高2位(2010年)。学生3大駅伝通算21勝は駒大に続く2位。長距離部員は選手60人。学生スタッフ9人。練習拠点は神奈川・横浜市。タスキの色は白。

主なOBは1972年ミュンヘン五輪マラソン代表の采谷義秋氏、91年東京世界陸上マラソン金メダルの谷口浩美氏ら。

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