第102回箱根駅伝(来年1月2、3日)で4年連続20回目の出場となる城西大は、大学創立60周年、駅伝部創部25周年の節目の年に過去最高の3位超えを狙う。今季は複数の主力選手のけがによって10月の出雲駅伝6位、11月の全日本大学駅伝は9位でシード落ちと優勝争いには絡めず。

巻き返しを期す箱根のキーマンは、前回5区3位の斎藤将也(4年)だ。「4代目・山の神」襲名に挑む。1万メートルの城西大日本選手記録も保持するチームのエースが、最後の箱根で区間新記録と往路Vを目指す。

 「4代目・山の神」襲名へのラストチャンスに挑む。2年連続2度目の山を担うエース・斎藤が、箱根路に向けて大きな目標を掲げた。「山の神という代名詞しかいらない。神になれるか、なれないかの勝負だと思う」。4代目襲名へ。その視線は、天下の険の頂のさらに先を見据えている。

 箱根5区では過去3人の「山の神」が誕生してきた。区間新記録を樹立し、往路優勝のゴールテープを切る―それが“襲名”の条件だ。前回大会の斎藤は、1週間前に38度7分の高熱に苦しむなど、万全とはほど遠い状態。

それでも区間3位、1時間10分50秒の快走を見せた。「去年の自分は体調を崩していたので参考にならない。どこまでタイムを伸ばせるかを目標にしている」。狙うのは、あくまで歴史に名を刻む走りだ。

 櫛部監督から課された目標は、区間記録を約30秒上回る1時間8分45秒。前回大会で若林宏樹(青学大)が記録した1時間9分11秒、さらに2015年に神野大地(青学大)が旧コース(現コースより約2・7キロ長い)を1時間16分15秒で走破し、現コース換算で1時間8分54秒とされる“事実上の区間記録”をも上回る設定だ。常識を超える壁だからこそ、「あっと驚くような記録を出したい」と闘志は燃え上がる。

 前回の体調不良は心境にも大きな変化をもたらした。「前回、チームに迷惑をかけてしまってから、自分の目標よりも、この箱根への思いが強くなった」。かつては先輩たちに背中を預け、自由に走っていた。だが、最上級生となった今は違う。「立場が変わり、後輩たちを引っ張る姿を見せられるようになった」。

覚悟と責任を背負い、箱根の山と対峙(たいじ)する。

 大学創立60周年、駅伝部創部25周年という節目の年。過去最高成績を目指すチームの浮沈は斎藤の走りに託される。心技体を整え、前人未到の領域への挑戦が始まる。(綾部 健真)

 ◆斎藤 将也(さいとう・しょうや)2003年10月22日、福井・大野市生まれ。22歳。福井・敦賀気比高に入学後、本格的に陸上を始める。全国高校駅伝は1年4区42位、2年3区33位、3年1区11位。22年に城西大経営学部に入学。箱根は1年2区15位、2年2区8位、3年5区3位。24年11月に1万メートル27分45秒12の城西大日本人記録を樹立。165センチ、50キロ。

 ◆城西大 2001年創部。箱根駅伝は04年に初出場。最高は24年の3位。23年出雲2位、23年全日本5位が最高成績。部員は51人、学生スタッフ5人。練習拠点は埼玉・坂戸市。タスキの色は黄色。女子駅伝部は全日本大学女子駅伝で1998、00、25年の3度優勝。主なOBは16年リオデジャネイロ五輪トラック長距離代表の村山紘太氏、21年東京五輪3000メートル障害代表の山口浩勢氏、山本唯翔(スバル)ら。

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