ユニホームを脱ぎ、第二の人生へ新たな一歩を踏み出した野球人を紹介する「去る人」セ・リーグ編。広島から戦力外となった磯村嘉孝捕手(33)は、2軍マネジャー兼広報(球団本部ファーム管理部ファーム管理課課長)への転身を決めた。

カープ一筋15年間で、主に第3捕手として縁の下の力持ちとしてバッテリーを支えた男が、ユニホームを脱いだ後もチームを支え続けていく。

 けがに悩まされる時期も多かったが、もう体にムチを打って練習する必要はない。それでも、新たな1年を迎える心境は「現役をやっていたときと変わらない」という。立場は違えど「始まる」と、新たなシーズンに目を向けた。

 球団のオファーに即決した。「すぐに声をかけてもらいましたし、やっぱりカープが好き。運営などの“裏側”に興味もあった」。2軍マネジャーはスケジュール管理や移動、宿泊先の手配、試合運営など業務は多岐にわたる。若手育成に欠かせない立場。「選手がプレーしやすい環境をつくることが、チームのためにもなる」。人望も厚いからこそ、これ以上ない適任だ。

 22年から難病を抱えた患者のいる病院訪問などの社会貢献を行ってきた。

今オフも、12月に中京大中京の先輩・堂林のほか、羽月と久保を連れて慰問した。「野球選手としては成功とは言えないですけど、(ユニホームを)着ている以上は子どもたちの憧れだと思う。野球選手だからこそできることは絶対あると思う」。これまでもこの先も、プロ野球界に携わることを誇りに、第二の人生を歩んでいく。(畑中 祐司)

 ◆磯村 嘉孝(いそむら・よしたか)1992年11月1日、愛知県生まれ。33歳。1学年上の堂林と中学時代からチームメート。09年には中京大中京でバッテリーを組んで夏の甲子園優勝。通算4度出場の甲子園で計2本塁打。10年ドラフト5位で広島入り。15年間で通算289試合、打率2割2分、12本塁打、53打点。178センチ、92キロ。

右投右打。

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