ユニホームを脱ぎ、第二の人生へ新たな一歩を踏み出した野球人を紹介する「去る人」セ・リーグ編。阪神は今季限りで現役を引退した原口文仁内野手(33)を取り上げる。

 自分だからこそできること、また伝えられることがある。不屈の男・原口氏は自身の第二の人生を思い描き、与えられた使命を果たす決意を明かした。「今まではプレーで皆さんに勇気や元気を与えたいと思ってやってきたけど、これからは講演活動とかで経験してきたことを伝えて、皆さんの挑戦を後押しできたらうれしい」と目を輝かせた。

 度重なる故障で育成契約になるなど、何度も試練に直面した16年間のプロ生活。ただ進行程度「ステージ3b」の大腸がんを患った時も、決して後ろ向きになることなく、19年1月に手術を受けて同年6月に復帰した。「ユニホームを脱ぐ最後の一日までプロ野球人生を全うできた」。諦めなければ道は開ける。その思いを、経験を、届けたい。

 「切っても切り離せない」と野球を通じた活動も念頭にある。新たに元阪神・赤星憲広氏がオーナーを務める中学生の硬式野球クラブ「レッドスターベースボールクラブ」の「育成アドバイザー」に就任した。子どもたちと白球を追いながら「自分も成長できるように。勉強していきたい」。

希望の光であり続けるために、原口氏は行く。必死のパッチで―。(中野 雄太)

 ◆原口 文仁(はらぐち・ふみひと)1992年3月3日、埼玉県生まれ。33歳。帝京3年時に夏の甲子園8強。2009年ドラフト6位で阪神入団。1軍出場がないまま12年オフに育成契約。16年4月に再び支配下登録。18年は代打で球団最多タイのシーズン23安打。19年1月に大腸がん公表。通算564試合出場で打率2割6分9厘、29本塁打、152打点。182センチ、97キロ。

右投右打。

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