第102回箱根駅伝(来年1月2、3日)で史上初となる同一チーム2度目の3連覇(計9度目)を狙う青学大は26日、相模原市の相模原キャンパス陸上競技場で、16人の登録メンバーから外れた選手による1万メートル学内記録会(非公認記録の手動計測)を行った。

 年間通じても最も強い風が吹いた厳しいコンディションの中、榲山一颯(すぎやま・いぶき、1年)が29分36秒2でトップを取った。

福冨翔(2年)が29分40秒4で2位、日向春空(はるあ、1年)が29分42秒5で3位に続いた。全日本大学駅伝(11月2日)では1区に抜てきされ、トップと8秒差の区間12位と踏ん張ったが、箱根駅伝では登録メンバーから外れた榲山は「次の第103回箱根駅伝(2027年1月)では往路を走って、青学大の優勝に貢献します」と1年後の大舞台での活躍を誓った。

 箱根駅伝直前の年末。青学大をはじめ、各校で行われる登録外メンバーによる記録会は、登録メンバーに勢いを与えるという意味で「箱根駅伝0区」と呼ばれる。3年生以下は来季以降の飛躍につなげ、4年生は最後の意地を見せるレースでもある。

 青学大では、15年大会で初優勝のゴールテープを切りながら翌16年大会では登録メンバーから外れた安藤悠哉(当時3年)が15年12月の1万メートル学内記録会で当時の「0区区間新記録」となる29分7秒0で力走。翌年度、主将に就任した安藤は17年大会で再びアンカーを務め3連覇のゴールテープを切ったという「伝説」が残る。21年12月には目片将大(当時3年)が、非公認記録ながら当時の自己ベスト記録(28分53秒40)を超える28分45秒0の「0区区間記録」をマーク。翌年度、4年生となった目片は主力に成長し、出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝でいずれも1区を担った。昨年はルーキーだった飯田翔大(かいと)が当時の公認自己ベスト記録(29分12秒87)を約15秒超える28分57秒6でトップ。「次の102回箱根駅伝は必ず走ります」。1年前に宣言した飯田は今季、主力選手に成長し、全日本大学駅伝(11月2日)では6区で区間賞を獲得。

箱根駅伝でも「準エース格」として期待されている。

 今回も熱いレースが行われた。「一年で一番、風が強い。過去、最悪の気象コンディション。風や悪条件に強いところをアピールしてほしい」と原晋監督(58)がゲキを飛ばした後、スタート。エースで主将の黒田朝日(4年)ら登録メンバー16人は「0区」を懸命に駆けるチームメートを応援した。

 序盤は神田大地が4年生の意地を見せて、強風の中、先頭を走った。5000メートルを14分51秒で通過した後、黒田朝日の弟の然(2年)が先頭に立ち、ペースアップ。残り1000メートルで榲山がスパートし、トップでゴールした。

 チーム17~18番手で登録メンバーから惜しくも外れた榲山は、来季以降を見据えて、2日前には登録メンバーと同じポイント練習を行った。「その疲労がありましたが、きょうは絶対にトップを取るつもりでした」と榲山は、きっぱり話した。「12月10日に登録メンバーから外れた後、1週間くらい気持ちが病みましたけど、今は気持ちを立て直しました。

第102回箱根駅伝は選手を全力でサポートして、次の第103回箱根駅伝では自分が往路を走って優勝に貢献します」とギラギラした目で話した。「箱根駅伝0区で頑張れる選手は次の年、必ず伸びる」と原監督も榲山の走りと意欲を高く評価した。

 原監督は今大会に向けて「輝け大作戦」を発令。「箱根駅伝を走る10人だけではなく、控え選手、マネジャー、チーム全員が、それぞれの立場で一番星のように輝いてほしい」と作戦の意図を説明する。ぎりぎり29分台でゴールした黒田然はゴール後、しばらく立ち上がることはできないほど全力を出し切った。登録メンバー外の力走は、3連覇を狙うチームに確実に勢いを与えた。

 青学大の1万メートル学内記録会の上位選手は以下の通り(非公認記録の手動計測)。

 <1>榲山 一颯(1年)29分36秒2

 <2>福冨  翔(2年)29分40秒4

 <3>日向 春空(1年)29分42秒5

 <4>神邑 亮佑(1年)29分46秒7

 <5>櫨元 優馬(1年)29分49秒1

 <6>若林 良樹(2年)29分51秒6

 <7>黒田  然(2年)29分58秒1

 <8>大島  福(1年)30分14秒4

 <9>前川竜之将(1年)30分17秒0

<10>田中 智稀(1年)30分19秒9

編集部おすすめ