第102回箱根駅伝(来年1月2、3日)で、史上最多タイの14度目となる15年ぶりの優勝を狙う早大に、マラソン15戦10勝のレジェンドOB瀬古利彦さん(69)が27日、必勝法として「逃げ逃げ大作戦」を授けた。

 この日、埼玉・所沢市の所沢キャンパスで行われた早大競技会の後、瀬古さんらOB会が花田勝彦監督(54)、山口智規主将(4年)、5区区間賞候補で「山の名探偵」の愛称を持つ工藤慎作(3年)、スーパールーキー・鈴木琉胤(るい)らを激励。

OB会長としてあいさつにした瀬古さんは「私たちは君たちに『頑張れ』と言わない。この1年、君たちが、とても頑張ってきたことを知っているからです。自分を信じて、仲間を信じて走ってください」と心を込めて呼びかけた。

 瀬古さんの激励は徐々に熱を帯び、本来の「瀬古節」が飛び出した。

 「この前、青学大の原晋監督(58)と会った時『今回の箱根駅伝は青学大、駒大、国学院大、中大の4強ですよ』と言われた。4強に早稲田は入っていなかった。悔しかった! 山口智規、鈴木琉胤(るい)にはプレッシャーをかけるぞ。君たちの力でトップに立ってほしい。箱根駅伝くらいでプレッシャーを感じていたら世界では戦えないから。5区の工藤は2分、できれば3分、勝ってほしい。山の名探偵、難問を解決してくれ。往路で勝って、復路では逃げに逃げる。

名付けて『逃げ逃げ大作戦』だ」

 青学大の原監督の代名詞とも言える「大作戦」が瀬古さんによって発令され、選手は笑顔を見せた。「逃げ逃げ大作戦」を成功させる大前提として、早い段階でトップに立つ必要がある。その使命を託された主将の山口智規は「4強(青学大、駒大、国学院大、中大)と言われていますが、早稲田は優勝を狙える力があると思っています」と力強く答えた。

 早大は前回大会4位。今季は学生3大駅伝初戦の出雲駅伝(10月13日)で2位、同2戦の全日本大学駅伝(11月2日)で5位。安定した成績を続けており、3冠を達成した2010年度以来、15年ぶり、史上最多タイの14度目の箱根路制覇のチャンスはある。

 瀬古さんは4年連続(1977~80年)で箱根駅伝2区を駆けた。3、4年時には2年連続で区間新記録の区間賞。しかも、その1か月前には福岡国際マラソンでいずれも優勝という伝説を残した。箱根駅伝と日本マラソン界の歴史にその名を残すレジェンドのユーモラスであり、そして、心がこもった「魂の激励」によって、早大の士気は上がったはずだ。

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