◆第104回全国高校サッカー選手権 1回戦 興国(大阪)2―0帝京大可児(岐阜)(29日・U等々力)

 6大会ぶり2度目出場の興国が、7大会連続12度目出場の帝京大可児をFW安田光翔(ひろと、3年)の2得点で2―0で下し、全国初勝利。2回戦へ駒を進めた。

 六車拓也監督は「僕らは全国でまだ1勝もできていなかったので、そこを何とかみんなで勝ち取りたいと思ってやってきた。歴史を変えたというところでは、学校も、サッカー部も、非常にポジティブな勝利だった」と振り返った。

 興国は全国切符をつかんだ後、一部選手の飲酒が発覚した。六車監督は神妙な表情で「まずは世間を騒がせてしまったことは、我々指導者として本当に申し訳なく思います」と謝罪し、「彼ら(選手たち)にとっては、メンタル的なダメージもあったと思うが、前を向いていくというところを話をした。そこに関しては、彼らも非常に前向きに取り組んでくれた。学校の手厚いサポートであったり、保護者のサポートがあり、何とかこの機会をいただけたので、彼らを含め学校関係者、保護者にお礼を伝えたい」と語った。

 指揮官は選手たちに伝えた内容に言及し「一つは彼らが好きなサッカーをどうやって学校として守っていくか。彼らに好きなサッカーを続けさせる環境であるか、というところに関して、好きなことをやらせてもらえるって当たり前じゃない、というのも、僕らも含めて分かってはいたが、彼らも気づけたところが大きかった。(周囲に)感謝してやらなければというところは、彼らにこの間伝え続けた。いろんな人に協力をしてもらっているというところは、彼らも十分に感じている。すごく(行動が)主体的になった」と成長ぶりを語った。

 2得点した安田は「この勝利は歴史に残る。

チームに貢献できてうれしい」と表情を緩ませ、府大会後、選手権までの期間について「キャプテン(GK岩瀬)が昨日ミーティングで『いろんなことがあって、それでもここ(全国の舞台)に立てているのは、いろんな人のサポートとスタッフ、家族の支えがあってできている。それにしっかり感謝して、楽しんで勝とう』と言った。今日、楽しんで勝てたことは良かった」と話した。

 ◆興国高サッカー部の不祥事経過 部員数人が飲酒していたことが11月6日に判明。飲酒を認めた部員数人を停学処分とし、無期限の活動停止処分とした。学校は部全体を対象に追加調査し、日本サッカー協会および全国高等学校体育連盟に報告。同校によると部員は同2日夜、大阪府内の飲食店で飲酒し、3日未明に府内の路上で意識障害の症状を起こして倒れているところを救急搬送された。同15日、高校サッカー選手権に出場すると発表。当該生徒は大会終了まで対外試合出場停止処分となった。

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