第102回箱根駅伝(来年1月2、3日)に出場する21チームの区間登録が29日、発表された。10年度に駅伝監督として、早大を史上3校目の大学駅伝3冠に導いた渡辺康幸・住友電工監督(52)は、各校の思惑を分析した。

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 2021年大会からメンバー変更が6名までに変更されたことで、各校とも多くの区間で主力選手を外して駆け引きをしている。年々その傾向は強くなってきているが、今大会はより強く感じる。往路は早大、中大が制する可能性が高いと感じた。

 前回優勝の青学大は仕上がりの良さを感じさせられる区間配置になった。エース・黒田朝は当日変更で2区が濃厚。山区間の5区6区は原監督の予告通り、そのまま1年生2人が務めるだろう。全体的には3区間から4区間代えるイメージで、実にオーソドックスな編成となった。

 駒大はなんと言っても佐藤の状態が気がかり。最終的に出走できるかどうかの見極めをしているのだと思う。3区で走れたらいいが、前回のように7区も考えていると思う。他にも帰山、山川といった主力選手が補欠に回った。往路だけで3、4区間で選手を代えると予想する。

 国学院大も順調で仕上がりがいいことを感じさせられるオーダー。補欠登録された青木、野中は往路、高山は復路を務めるだろう。山区間は登録された2人がそのまま走ると考える。全体的にバランスのいい区間配置になったと思う。

 早大は2区に山口智、5区に工藤が順当に入り、盤石なオーダーを組むことができた。補欠登録の間瀬田、鈴木が往路で、堀野が復路に回る可能性が高い。山上りに絶対的な強みがいるだけに、序盤区間でミスがなければ往路優勝の可能性は十分だ。

 中大は補欠に回った吉居、藤田、岡田がどこに入るか。1区は10月の出雲で1区区間賞の岡田、前回大会区間賞のエース吉居と適任者が2人いる。山区間に経験者がいないだけに、平地でのスピード勝負でどれだけ先行できるかが鍵になる。

 城西大、創価大、帝京大の3校も十分上位に入る力があり、シード圏内は堅いだろう。予選会組からは順大、東海大、日体大、日大の4校にシード獲得の可能性があるだろう。

特にベストメンバーを組むことができた順大は、一番近いと思う。(元早大駅伝監督、住友電工監督)

 ◆渡辺 康幸(わたなべ・やすゆき)1973年6月8日、千葉・八千代市生まれ。52歳。花園中2年から陸上を始め、市船橋高を経て92年に早大人間科学部入学。箱根駅伝は2年1区、3年2区で区間新など4年連続出場し、1年で総合優勝。96年エスビー食品入社。同年アトランタ五輪1万メートル代表に選出も故障で欠場。02年に現役引退。04年に早大駅伝監督に就任し、10年度に学生駅伝3冠。15年から住友電工監督。家族は夫人と1男1女。

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