競馬記者になってから「無印」の馬をあれだけ熱烈に応援したのは、後にも先にもない。

 2013年5月19日、メイショウマンボがオークスを勝利した2時間ほど前にWIN5を購入した。

この日はメインまでの対象4レースが1、3、4、1番人気と固めの決着だったこともあり、WIN4を達成して本番を迎えていた。メインレースの本命は1番人気のデニムアンドルビー(3着)。印は打っていなかったが、先輩記者の助言もあって、9番人気で武幸四郎騎手騎乗のメイショウマンボも買い目に入れていた。

 レースは末脚が武器のデニムアンドルビーが直線で大外に持ち出すも、思ったより伸びない。「ダメか…」と諦めたとき、視界に入ったのが馬場の真ん中から力強く伸びてきたのが青とピンクの勝負服だった。自覚はなかったが、レース後に周りの記者から「マンボ! マンボ!」と大声を張り上げていたぞと冷やかされたのを覚えている。

 25年は4月25日にメイショウマンボが、8月29日には「メイショウ」の馬主で知られる松本好雄さんが天国へ旅立った。そのオーナーと親交が深い、スポーツ報知評論家の小島太さんに裏話を聞く機会があった。

 「あのレースは自分の事のようにうれしかったですねぇ。オーナーとはそれこそ、私がジョッキーとしてデビューした頃からのお付き合いでしたし、武豊騎手、武幸四郎調教師の父である邦彦さんと仲が良かったこともあり、それこそ幸四郎は赤ちゃんの時から見てきましたから。メイショウマンボは桜花賞で大敗(10着)していたから人気はありませんでしたが、実はレースの何日か前にジョッキーから『自信がある』と聞いていたんですよ」

 小島太さん懐かしそうに振り返った2013年のオークスは、私のなかでも一生、忘れることのないレースだ。(西山 智昭)

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