2024年1月から中央の美浦担当になり、同年3月に開業したのが千葉直人調教師。同い年の1年目同士ということもあって、昨年から取材させていただく機会も多く、厩舎にうかがうとスタッフを含めた雰囲気が非常にいい。

昨年1月にはニシノエージェントで京成杯を制して重賞初制覇。年初に掲げていた15勝を10月にクリアすると、最終的には19勝。思い描いた通りに成績を上昇させ、昨年の2倍以上の勝利を積み重ねた。

 その千葉調教師がデビュー前に「これはいいよ」と、将来的に大舞台での活躍を思い描くのがピエドゥラパン(牝3歳、父エピファネイア)。母は京成杯AHを連覇し、ヴィクトリアマイルでも4着に好走したトロワゼトワルと、マイル路線で活躍が期待できる血統。

 デビュー戦は内をロスなく立ち回った勝ち馬にうまく運ばれての2着だったが、外から鋭く迫ったゴール前の伸びには、素質の片りんが感じられた。続く未勝利戦は初戦に見られた気負う面はほとんどなく、先団後ろから肩ムチだけで先頭へ。残り1ハロンでムチが入ると、スッと反応して後続を突き放した。指揮官がデビュー前に感じたセンスの良さと確かなポテンシャル。まだ、未勝利を勝ち上がったばかりではあるが、随所に可能性を感じさせる走りを見せてくれた。

 人に対しての気配りが、馬への相乗効果を生んでいるのだろう。千葉調教師は自厩舎のスタッフだけでなく、牧場で働く人への感謝も忘れない。

「僕ら以上に長い時間、1頭1頭に対して向き合ってもらっている中で、こちらは仕事をしている。感謝の気持ちは常に持ち続けたいですし、調教師人生の中で常に肝に銘じておかなければいけないこと」。私も以前は牧場で働いていただけに、自然と出てくる感謝の言葉をうれしく思った。

 競馬は馬を中心にしたチームで行う。最後にバトンを受け継ぐ指揮官の思いは、牧場やスタッフに必ず伝わるはずで、強いチームになる可能性を大いに秘めている。1勝馬のピエドゥラパンと厩舎の将来性を、“チームの一員”のつもりで全力で応援したい。(浅子 祐貴)

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