◆プロボクシング ▽WBA世界バンタム級(53・5キロ以下)挑戦者決定戦10回戦 〇井岡一翔―マイケル・オルドスゴイッティ●(31日、大田区総合体育館)

 WBA世界バンタム級挑戦者決定戦で、元世界4階級制覇王者でWBA同級9位の井岡一翔(36)=志成=が4回KO勝ちし、同級転向初戦を飾った。日本男子初の5階級制覇を懸け、25年5月2日に計画される東京ドーム興行でWBC同級王者・井上拓真(30)=大橋=に「挑戦させていただきたい」と明言した。

WBA世界ライトフライ級挑戦者決定戦は、WBA同級2位の吉良大弥(22)=志成=が右ショート一撃で2回KO勝ち。次戦で国内最速タイとなる5戦目での世界王座獲得を目指す。(観衆2756)

 36歳のレジェンドの、最後にして最大のミッションが決まった。井岡はリング上で「井上拓真チャンピオンに挑戦させていただきたい。5月、井上尚弥選手と中谷潤人選手がドームで試合すると聞いている。そこで僕たちも盛り上げられたら」とWBC王者・拓真を“逆指名”した。WBA挑戦者決定戦だったが、WBCでも挑戦権がある4位にランクされていることで、拓真の名を挙げた。試合後の会見でも「東京ドームに立てて、5階級制覇を決められたら最高じゃないですか。舞台は整い過ぎじゃないですか」と繰り返した。

 転向初戦は貫禄のKO勝ちだ。2回、左フックで相手のガードを上げさせ、すかさず左ボディーフックをレバー(肝臓)に突き刺しダウンを奪取。4回、ガードの奥から再び左ボディーをめり込ませ、10カウントを聞かせた。

「倒れると思って打ったわけではなく、流れの中で打った。それでも倒れた。階級の壁を感じることなく、自信を持って戦えた」。13度目の大みそかで、23年以来2年ぶりの勝利の味をかみしめた。

 練習全体の約3割の時間を割いていたフィジカルトレーニングを約半分にまで増やした。頭と体を連動させ、強化した筋力をパワーに転化するための体の使い方を学んだ。井上尚弥(大橋)が昨年12月27日の試合前に行っていたウォーミングアップの映像を見て「こういう動きをしているからスピードや瞬発力が出ているんだな」と得心。「勉強ですよね。知識を増やして自分が体で感じることで、より動けるようになってきた」。日本人史上最多の世界戦27試合を経験してきた36歳は、進化を止めない。

 リングサイドには、拓真とWBA正規王者・堤聖也(角海老宝石)の姿があった。拓真は試合直後に会場を離れたため、リング上での宣戦布告を直接伝えることはできなかったが「リングサイドからめっちゃ見られている感じがして、ちゃんとした試合をせな、という気持ちになった」と井岡。

尚弥も26年にフェザー級に転向し、5階級制覇を目指す意向を示す。井岡が拓真を破り王座につけば、尚弥より先に日本男子初の偉業を達成する。「自信がなければ対戦を呼びかけない。自分自身を信じて5階級制覇に挑戦している。それが拓真選手でも堤選手でも、自分が勝てる自信があるので挑戦している」。井岡一翔の最終章は、東京ドームでクライマックスを迎える。(勝田 成紀)

 ◆井岡 一翔(いおか・かずと)1989年3月24日、大阪・堺市生まれ。36歳。興国高で全国6冠。東農大を中退し09年プロデビュー。11年にWBC世界ミニマム級、12年にWBA世界ライトフライ級の王座獲得。15年に同フライ級王座獲得。

17年末に一度引退も18年9月、再起。19年6月にWBO世界スーパーフライ級王座を奪取し、日本男子初の4階級制覇を達成。身長165センチの右ボクサーファイター。叔父は元世界2階級制覇王者・弘樹氏。家族は妻と2男。

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