元日恒例のニューイヤー駅伝(全日本実業団駅伝、7区間100キロ)で、GMOインターネットグループ(GMO)が4時間44分0秒の大会新記録で、創部10年目で念願の初優勝を飾った。

 優勝メンバー7人のうち、1区の吉田祐也(28)、3区の鈴木塁人(28)、5区の太田蒼生(23)、7区の鶴川正也(23)の4人が青学大出身。

箱根駅伝で直近11年で優勝8回の常勝チームで、4人とも優勝を経験した。

 6区の嶋津雄大(25)は創価大出身。4年連続で箱根駅伝を走り、区間賞2回と活躍した。

 インターナショナル区間の4区を走ったケニア出身のマイケル・テモイ・キプランガット(20)を除けば、箱根路で活躍した選手が5人を占める中、国立の千葉大・千葉大大学院出身の今江勇人(27)の存在が際立った。箱根駅伝のスター選手がそろうGMOの中で、エース区間の2区を担った。

 創価大出身でサンベルクスの吉田響(23)、国学院大出身でロジスティードの平林清澄(23)と、昨季まで箱根路で活躍していた大物ルーキーに堂々と競り勝ち、トップでタスキをつないだ。区間賞は吉田響に譲ったが、区間新記録の区間2位。優勝を引き寄せた。

 箱根駅伝の常連校は、学校を挙げて強化し、食事付きの選手寮などが完備され、練習環境が整っている。対照的に国立の千葉大は状況が全く異なる。

 2019年の夏。水はけが悪いエリアにはゴムマットが敷かれている千葉大の土トラックを走っていた今江君の姿をはっきりと思い出すことができる(まさに「今江君」という雰囲気なので、以降、君付けで表記します)。

 2019年、千葉大の合言葉は「チーム全員で立川へ、今江さんは箱根へ」だった。今江君は予選会の敗退校で編成されて箱根駅伝にオープン参加する関東学生連合に選出される実力を十分に持っていた。ただ、そのためには千葉大は予選会の参加資格である1万メートル34分以内を10人以上がクリアしなければならない。

 当時、千葉大の男子長距離部員は15人。エースの今江君に続く2番手の選手の1万メートルベスト記録は32分44秒だった。チーム内でずば抜けた実力だった今江君はひとりだけ別メニューで走っていた。

 箱根駅伝常連校の選手はアルバイトをすることはほとんどないが、今江君は、学業と練習の合間にスーパーマーケットで働いていた。「試合や合宿でお金がかかりますから、その分、働かないと。スーパーは売れ残った食材をもらえることもあるから助かるんですよ」と笑顔で話していた。

 その年、結果的に千葉大は有資格者が2人足りず、予選会に参加できず、今江君が箱根駅伝を走ることはなかった。それでも、今江君は「直前の記録会で後輩たちは僕を予選会に出すために頑張ってくれました」と爽やかな表情でチームメートに感謝した。

 あれから6年。

土トラックを走っていた今江君は、日本のトップランナーに成長した。

 最近の正月は、ニューイヤー駅伝で快走する今江君の雄姿を見て、爽やかな気持ちで1年を始めることができる。50代半ばのおじさん記者も、今江君の爽やかさを少しでも見ならって2026年を過ごしたい、と思う。(箱根駅伝担当・竹内 達朗)

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