日本の大みそかの風物詩、「第76回NHK紅白歌合戦」が終了した。2010年から毎年欠かさず行っている紅白取材。
日本初のラジオ放送がスタートしたのは1925年。関東大震災から復興の途にあり、大正デモクラシーの最中である。日本は民主化をたどる一方で、治安維持法が交付され、この先の言論活動に影を落とす兆しも見えている。なお、この年話題になった出版物は「女工哀史」。もちろん紅白も誕生していない時代からの100年を音楽番組で表現するというのは前提として至難の業である。
オープニングの「放送100年スペシャルメドレー」の1曲目「夢であいましょう」は1960年代の楽曲。いきなり30年以上すっ飛ばされている。歌合戦である以上、どうしても歌で構成されていくのは当たり前だが、この100年間でテレビ・ラジオが果たした役割はニュースなどの報道、災害時の対応、ドラマなどの良作を届けること、リアルタイムでスポーツの熱狂を伝えることなど多岐にわたる。
出場者はみんな、自らが持ちうる最大限のパフォーマンスを発揮し、コラボレーションステージもリスペクトするばかり。ただ、アーティストの持ち時間にはバラつきがあり、前半と後半ではまったく違う番組のようだった。SNS映えする楽曲は前半に集中させ、後半は高めの年齢層をターゲットに。温度差がありすぎて、なかなかしんどかった。筆者は40代前半の女性だが、違う世代の音楽に触れる新鮮さはあるものの、世代ど真ん中の楽曲はなかった。また、本人サイドもNHKサイドも視聴者も、誰の得にもならなかったaespaの出演は、むしろ気の毒ですらあった。
視聴率の上りどきとしてNHKが番組のピークとして設定している「10時またぎ」はロック界のレジェンド・矢沢永吉のNHKホールへのサプライズ登場。もちろん盛り上がったし、ストイックな立ち姿、パフォーマンスにはほれぼれしたが、昨年のB’zも同じ時間帯。「10時またぎ」戦略が透けて見え、妙に我に返る自分がいた。100年前には「10時またぎ」という概念は当然存在しない。公共放送なのに商売っ気が見えて少し困惑した。
「特別企画」が多いことにも疑問が残った。昨年の5組から3組多い8組。100年の紅白を盛り上げるためといえば聞こえはいいが、白組、紅組の出場者が歌を競うという趣旨からは逸脱しており、企画ありきのブッキングには疑問が残る。「紅白歌合戦」というフォーマットを考え直す時期に入っているのかもしれない。
もちろん今回の紅白も、心を打つ歌唱は多くあったし、ある演出では涙するほど大感動した。さまざまな制約のなかでオファーし、ステージングに神経をすり減らしながら臨んでいるであろう制作陣の大変な苦労や、本番に向けてパフォーマンスを高めてきたアーティストのみなさんには本当にお疲れさまでしたと言いたい。
戦争や災害、未曽有の感染症もあり、さまざまな悲しみも喜びも経験してきたこの100年。性別や見た目、信条でカテゴライズされることは減り、多様性の時代となった。視聴形態が移り変わり、さまざまな形で情報を受け取れる現代において、テレビ・ラジオ放送はどのような未来が待っているのか分からない。それでもテレビに育ててもらった一視聴者としては、やっぱり100年先にも続く紅白が見たい。そう思わせるのはやっぱり紅白が唯一無二の国民的番組だからである。(音楽担当キャップ・宮路美穂)

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