◇第102回東京箱根間往復大学駅伝競走往路  (2日、東京・千代田区大手町読売新聞社前スタート~神奈川・箱根町芦ノ湖ゴール=5区間107・5キロ)

 レースは4区に突入し、いよいよ、文字通り、レースの山場の5区が近づいてきた。

 今大会は5区に逸材がそろった。

史上初となる同一チーム2度目の3連覇(計9度目)を狙う青学大の黒田朝日(4年)、15年ぶりの優勝を目指す工藤慎作(3年)、初優勝を目指す城西大の斎藤将也(4年)は、順大の今井正人、東洋大の柏原竜二、青学大の神野大地に続く「4代目・山の神」襲名の期待がかかる。

 工藤は首位の中大と1分12秒差の2位でスタート。城西大の斎藤は首位と3分24秒差の4位、5位の青学大の黒田朝日は斎藤から1秒差でほぼ同時にスタートした。歴史に残る熱戦が始まった。

 青学大の絶対エース黒田朝日は当日変更で5区に投入された。マラソン日本学生記録(2時間6分5秒)を持つ走力に加え、上り適性も抜群だ。

 青学大では、長野・菅平高原の夏合宿の恒例として坂タイムトライアルが行われる。18キロを設定ペースで集団で走り、残り3キロ地点から競走。標高1322メートルから同1535メートルメートルまで標高差213メートルを全力で駆け上がり、心肺機能を限界まで追い込む。「心臓が口から飛び出そうになる」と全選手が口をそろえるほどのきつい21キロ走だ。

 昨年の夏合宿で黒田朝日は、重力に逆らうような軽やかさで上り坂を駆け上がり、自身が前年に昨年マークした「コース記録」を大幅に更新した。合宿には今年のニューイヤー駅伝(全日本実業団駅伝)で初優勝したGMOインターネットグループ勢も参加しており、東京世界陸上男子マラソン代表の吉田祐也(28)、主力の鈴木塁人(28)らにも大差をつけた。

その時、原晋監督(58)は「もし、黒田朝日が5区を走れば、とんでもないことになります」と予言。近年の箱根駅伝11戦で優勝8回の名将の予言は当たるか? いよいよ朝日が箱根の山に上る。

 早大の工藤慎作は「山の名探偵」の愛称を持つ。超人気漫画「名探偵コナン」の主人公・工藤新一と名前が似ており、メガネをかけた姿から、すっかり愛称は定着。5区は3年連続の挑戦。1年目は1時間12分12秒で区間6位、2年目は1時間9分31秒で区間2位と着実に成長している。

 昨年2月の日本学生ハーフマラソンで日本学生歴代4位の1時間0分6秒で優勝し、同年7月のワールドユニバーシティゲームズ(ドイツ)で金メダルを獲得するなど平地の走力も優れている。工藤自身「山の名探偵」の愛称をお気に入り。前回大会はコナンにちなみ「真実はいつも一つ」の左手を前に突き出す決めポーズでゴールした。学生駅伝3冠を果たした2010年度以来、優勝から遠ざかっている早大の復活優勝という「難問」を解決するために天下の険に挑む。

 城西大の斎藤将也は未知数の力を秘める。前回、初めて5区を走り、1時間10分50秒で区間3位。

見事な好走だったが、それは病み上がりの状態で臨んだ結果だった。1週間前に38度の発熱。「当日の体調は10~20%くらいでした」と振り返る。最後の箱根路に向けて「目標タイムはありません。1時間8分台とか8分30秒とか目標タイムを決めて、リミットをつくりたくないからです」ときっぱり語る。

 斎藤は1年時に「仮想・箱根5区」と呼ばれる「箱根激坂王決定戦」で優勝。5区で2年連続間新記録をマークした「山の妖精」山本唯翔(現スバル)に59秒も先着した実績を持つ。2年時に全日本4区で区間賞を獲得するなど「駅伝力」もある。1万メートル27分台の地力もある。城西大の櫛部静二監督(54)は「天候次第では1時間8分台が狙える」と期待する。

 4代目の「山の神」の襲名に欠かせない条件は区間新記録。そして、往路優勝のゴールテープを切ることだ。

過去3人の「山の神」は全員がそれを実現している。

 5区の区間記録は前回、青学大の若林宏樹(当時4年)がマークした1時間9分11秒。ただ、2015年に青学大の「3代目・山の神」神野大地は現コースより約2・5キロキロ長い旧コースを1時間16分15秒で走破。現コースに換算すると1時間8分55秒前後で「事実上の区間記録」とされている。

 「事実上の区間記録」も更新するハイレベルな戦いとなることは必至だ。

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