第102回箱根駅伝(2、3日)で往復路、総合のトリプル新記録で史上初の同一チーム2度目の3連覇(計9度目)を達成した青学大は、歴史的勝利から一夜明けた4日、東京・町田市の選手寮でチームミーティングを行った。今大会を総括し、来年の第103回大会で10度目の優勝を目指すことを意思統一した。

前夜は年に1回だけの酒宴を開き、この日の昼は日本テレビで番組収録。リラックスした時間を過ごしたが、夕方のミーティングでは空気が一変した。原晋監督(58)に取材を許可された竹内達朗記者が青学大のリアルを見た。

 歴史的な勝利から一夜明けたこの日、昼過ぎの日テレの番組収録から青学大チームを密着取材した。選手は重圧から解放され、気分よくリラックス。箱根駅伝放送センターのスタジオでは満面の笑みを見せ、日テレから選手寮に戻るバス車中では爆睡していた(同乗させてもらった私も半分、寝ていたけど)。

 青学大駅伝チームの選手寮で飲酒を伴う会食があるのは1年に1度。勝っても負けても箱根駅伝が終わった1月3日の夜だけ。原監督、妻で寮母の美穂さん(58)をはじめスタッフ陣と20歳以上の選手はアルコール類を、20歳未満の選手はスポーツドリンクを飲みながら、この1年間を語り合った、という。

 原監督は「私は12時に引き揚げて寝ました。一番、遅い選手とマネジャーは朝の5時頃まで飲んでいたらしいですよ」と笑いながら話した。5区で1時間7分16秒の圧倒的な区間新記録をマークし「シン山の神」&「4代目・山の神」を襲名した主将の黒田朝日(4年)は「僕はお酒を飲みませんでした。

アルコールは弱いので、飲んじゃうと寝てしまい、みんなと話ができなくなるので」と仲間との語らいを最優先させたことを明かした。

 レースの疲れもあり、全員が寝不足。車中の爆睡は当然だった。しかし、バスが選手寮に到着し、その15分後に始まったミーティングでは雰囲気が一変した。

 黒田朝日はレース直後や関係者の優勝報告会では「僕がシン山の神です!」と笑顔で話していたが、ミーティングでは「山の神」のフレーズは一切なく、仲間への感謝を最大限に伝えた。

 「付き添い、給水係、山の中でタイム計測をしてくれた仲間、多くの人の支えがあって出せたタイムです。ありがとうございました」と頭を下げて話した。

 箱根駅伝では、どのチームも、出場メンバーから外れた選手、マネジャー、スタッフが総出で多くの役割を分担し、選手を全面サポートする。特に5区、6区の計測係は任務が重い。任せられたポイントまで歩き、寒さの中、選手の到着を待つ。先行する選手との差を計って伝える一瞬の仕事のために長い時間をかけて山を上り、待つ。黒田朝日が箱根山中で激走した裏には、箱根山中で一緒に戦ったチームメートがいた。

 ちょうど1年前。前回大会では4区の「駅伝男」太田蒼生、5区で区間新記録(当時)の若林宏樹、6区で区間新記録の野村昭夢、9区のカリスマキャプテン田中悠登ら強力な4年生を擁して連覇を果たした。その翌日のミーティングで、原監督は、第102回大会に向けて「このままでは勝つ可能性は0%」と話した。

 その厳しい状況から、夏合宿で全員が泥臭く走り込むなど、努力に努力を重ねて、チームは急成長。第102回大会は往復路と総合をすべて新記録で圧勝した。次の103回大会に向けても原監督は厳しい現実を説明した上で、節目の10度目の優勝に向けてチームを鼓舞した。

 「箱根駅伝のレベルは一気に上がっている。気象条件は異なるが、今回、20位の立大の記録(11時間5分58秒)も、ちょっと前なら優勝を争えるタイムです。きょうの常識は明日の非常識。我々もリミッターを切らなければならない。来季のライバルは国学院大、中大、早大になる。そして、青山学院を含めて4強の争いになるでしょう。

優勝の可能性は0%ではない。4強の中から、どう抜け出して、勝つか。今回、出場できなかった選手はレギュラーを、レギュラーはより上を目指してほしい」

 指揮官の熱い言葉に全選手が力強くうなずいた。

 箱根駅伝の歴史にその名を残した黒田朝日は「青学大が王者であり続けるためにチーム一丸となって戦ってほしい」という力強い言葉を後輩に残した。

 1月3日午後1時19分26秒に10区の折田壮太(2年)が優勝のゴールをテープを切ってから約28時間後。4日午後5時15分に始まったミーティングは、早くも103回箱根駅伝に向けて戦闘モードになった。箱根王者のリアルと強さを見た。(竹内 達朗)

◆優勝メンバー10人コメント

 優勝メンバーの10人はチームミーティングで、選手のサポートに徹した選手、マネジャー、スタッフに感謝の言葉を述べた後、主に以下のように発言した。

 1区・小河原陽琉(2年)=区間16位=「悔しい結果になってしまいました。10キロで先頭集団から後れてしまいましたが、1秒でも速く、2区の飯田にタスキをつなぐという思いで走りました。多くの課題が見つかったので、克服していきたい」

 2区・飯田翔大(かいと、2年)=5人抜きで11位浮上、区間10位=「想定より遅い位置でのスタートになったので焦りはありましたが、出雲駅伝(3区10位)と同じにならないように落ち着いて走りました。タイムは満足していますが、もっと攻めた走りをすれば、3区以降の選手、朝日さんに楽をさせられたと思います。

3年目は日本人トップ、4年目は区間賞、区間新記録を目標にやっていきます」

 3区・宇田川瞬矢(4年)=3人抜きで7位浮上、区間8位=「前回(1区10位)は悔しい結果に終わったので、今回は4年生らしい走りをするつもりでしたが、また、悔しい結果になってしまいました。箱根駅伝を走ることができて優勝しても悔しいです。来年、後輩には、そのような気持ちにならないでほしいです」

 4区・平松享祐(3年)=3人抜きで5位浮上、区間3位=「急きょ、出場が決まり、不安がありましたが(1区出場予定で欠場した)荒巻(朋熈、4年)さんの分をカバーしたいと思って走りました。補欠から急きょ走ることになっても走れるという自信になりました。結果は良かったですけど、1年生(区間賞の早大・鈴木琉胤)に負けた、という事実もあります。区間新記録を目指さなければ勝てない。4区を譲る気持ちはないので、来年はそこ(区間新記録)を目指します」

 5区・黒田朝日(4年)=4人抜きで首位浮上、区間賞・区間新記録=「流れや順位に左右されず、自分の走りができました。付き添い、給水係、山の中でタイム計測をしてくれた仲間、多くの人の支えがあって出せたタイムです。青学大が王者であり続けるためにチーム一丸となって戦ってほしい」

 6区・石川浩輝(1年)=首位キープ、区間3位=「原監督の想定通りの走りができたと思いますが、想定以上の走りがしたかったです。まだまだ、走力が足りません。6区で青学大を勝たせられる選手になりたいです」

 7区・佐藤愛斗(2年)=首位キープ、区間3位=「国学院大の高山(豪起)さんに2分も縮められて本当に申し訳ない気持ちです。まだまだ、やることがあると感じました。

基礎となるジョッグをもっとやるようにしないといけない。塩出さんは基礎となるジョグをすごくしています。塩出さんを見ならって区間賞、区間新記録を取れるように頑張ります」

 8区・塩出翔太(4年)=首位キープ、区間賞・区間新記録=「区間新記録が出せて、ホッとしています。今回は朝日というエースがいたから勝てた。一人ひとりの総合力がもっと求められます。3年生以下は一人ひとりがもっと力をつけて4連覇、5連覇してほしいです」

 9区・佐藤有一(4年)=首位キープ、区間賞=「思い描いていた4年間ではありませんでしたが、最後まで諦めなかったので、箱根駅伝を走れたし、区間賞も取れました。やっぱり、箱根駅伝は4年生が重要です。箱根駅伝未出走の3年生がいますが、力はあるので、これから、もっと頑張ってほしいです」

 10区・折田壮太(2年)=優勝でゴール、区間2位=「1区から9区の選手がつないだタスキを1番で大手町に運ぶという仕事を果たせたことがうれしいです。出場した10人だけではなく、全員がそれぞれの役割を果たせたと思います」

編集部おすすめ