◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 昨年12月、記者1年目から取材してきた今村信貴投手(31)からユニホームを脱ぐと連絡を受けた。最後のシーズンはファームで41試合に登板し、4勝1敗、防御率1・91と抜群の安定感を誇っていたが、1軍の舞台には立てなかった。

戦力外通告を受け、NPBの球団からオファーはなく、引退を決断した。悔しさを押し隠し「たくさんの人たちに支えられた。感謝感謝の野球人生でした」と明るく言う姿はノブさんらしいな、と思った。

 一緒に自主トレし、背番号26を受け継いだ師匠・内海投手コーチは、感謝を伝えたいうちの一人だ。「結局、内海哲也みたいにはなれなかったけど、内海さんに出会えたからここまでやれた」。苦しいときもうれしいときも支えられ、背中を追ってきた。

 昨オフ、鹿児島・与論島で自主トレを行った。“内海塾”の時代から世話になっているトレーナーと一緒だった。ある日、練習を終え、食事をしようと街の飲食店に入った。何とサプライズで内海コーチが登場。「本当に全く知らなくてボロ泣き。熱い話をしてもらった」。

まだまだ腐るな、と言葉をかけられ、抱き合った。与論島まで自分のために駆けつけてくれた、大先輩の心遣いがうれしかった。

 エールに応えたい思いは強かった。「内海さんからは『どれだけ頑張っても結果が出るかどうかは分からない世界。でも、俺は悔いは残らないようにやろうと思う』とよく言われてきた。それは自分も同じ思いだった」。望んでいたような結果ではないが、悔いはない。14年間、自分なりに全力を注いできたのだから。(巨人担当・水上智恵)

 ◆水上 智恵(みずかみ・ちえ) 2021年入社。G担一筋。

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