歌舞伎俳優の大谷廣松が8日、都内で大谷廣松舞踊公演「廣松の会~雪月花」(2月6日、東京・観世能楽堂)の取材会を行った。

 祖父の4代目中村雀右衛門さん(2012年死去、享年91)が舞踊化して家の芸にした「豊後道成寺」のほか、くだけた雰囲気の中に江戸の粋や風情が描かれる「まかしょ」、格調高くおめでたい「島の千歳」に挑む。

「祖父の背中を追い続ける人生。追いつけ、追い越せの気持ちで頑張っていきたい」と意気込みを語った。

 祖父は昭和を代表する女形の名優で、道成寺物を得意としていた。「豊後道成寺」は、安珍・清姫伝説を題材にした道成寺物の集大成「京鹿子娘道成寺」の詞章を用いた舞踊作品。「祖父は何もないところから世界観を作り上げることがすごい。祖父、叔父(5代目雀右衛門)から受け継いだ衣装に初めて袖を通すのでドキドキします」と胸を高鳴らせた。

 粋で優しい祖父の人柄を明かした。生前、祖父の家に遊びに行くと「『財布を見せてみろ』と言われ、『寒い財布だな。温めてやるよ』とお小遣いをくれました。ただ、お小遣いをくれるのではなく、ワンクッション置いて、しゃれっ気のある人でした。おしゃれなレストランにも連れて行ってくれました」と振り返った。

 今月は新橋演舞場「初春大歌舞伎」(27日千秋楽)の昼の部「鳴神」で雲の絶間姫を初役で勤めている。

周囲の反響はおおむね好評で「自分の中で方向性が見えてきた」と手応えを感じている。今後の成長を見据え「後輩たちに慕われるようになりたい。いい関係を築いていけたら」。自主公演についても「できたら、毎年やっていきたい。チャンスは今しかないと思っているので来年、再来年と勢いづいて進んでいきたい」と意欲を見せた。

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