名門・慶応(神奈川)のOBで、社会人野球を経験した6人(現役選手4人を含む)が17日、横浜市内の同校日吉台野球場で部員たちに技術指導と講義を行った。同校では初の試みで、4時間にわたって白熱した交流が実施された。

 講師を務めたのは元ENEOS内野手の山崎錬さん、ENEOSや四国IL徳島を経て、現在はクラブチームの全川崎クラブでプレーする谷田成吾外野手、元ENEOS内野手の瀬戸西純さん、日立製作所の生井惇己投手、ENEOSの渡部淳一投手、日立製作所の吉川海斗外野手だ。いずれも東京六大学野球リーグ・慶大でのプレーを経て、社会人野球に臨んだ。

 グラウンドの技術指導では、ナインはそれぞれのポジションでコーチングを受け、積極的に質問をするなど、3時間にわたって有意義な時間を過ごした。

 トレーニング室で行われた1時間の講義では、6人が高校時代や選手生活を振り返り、自身の経験からナインに助言を行った。

 吉川外野手は「慶応野球部の、どうすればうまくなるのかを自分で考えて野球ができるのは、強みになる。しかしそれは自分の責任になる。全て自分の責任になるのは、社会人も一緒。責任感を感じながらできるのは、いい経験になる。卒業してから、慶応の良さが分かる」と説いた。

 生井投手は「目標設定は高く、大きい夢を持って欲しい」と語り、「挫折することも大事。挫折をどう生かすか。心を折れずに、失敗して立ち上がることが大事になってくる。

秋の(武相との神奈川大会)初戦敗退から春夏、どう勝つか」とハートに火をつけた。

 渡部投手は「現実が見えているからこそ、リスクを回避して安全な道を選びがちだが、『~しておけばよかった』は後々、引きずることもある。大胆な選択に挑戦して欲しい」と呼びかけた。

 瀬戸西さんは、自身の代も秋の神奈川大会初戦で横浜隼人に敗れながら、冬場に自らに猛特訓を課して、3年夏の神奈川大会決勝に進出したエピソードを披露。「自分の発言に説得力を持たせるためにも、自分に厳しく取り組んだ。本当にしんどかったが、自信につながった。冬の間にどれだけ下に広く強い根を張れるかが、春に咲く花の大きさに比例する。冬場はいろんなことに取り組んでもらいたい」とエールを送った。

 谷田外野手は「目標設定の精度が大事。目標は途中で何度もアップデートしていい。自分を冷静に見た上で、チーム内でどんなポジションになるべきか。この期間に見つけて、夏までに地道にコツコツやってほしい」と伝えた。

 山崎さんは「野球を続けていると、野球から逃げたいなとか、野球が苦しくて向き合いたくないなと思う瞬間ってあると思う。でもユニホームを着ている限り、何度でもやり返すチャンスはある」と熱い言葉で鼓舞した。

 森林貴彦監督は「非常に濃厚な一日を過ごすことができました。部員たちがこの先の野球人生や、人として成長していく姿を、こういうふうになりたいな、こういうふうになれるんだなと思ってくれたら」と6人に感謝。徳留海主将(2年)は「技術的な部分もそうですし、考え方や野球に取り組む姿勢で、参考になる部分がたくさんありました。すごい選手は自分の考えをしっかり持っていて、言語化も上手。それがレベルの高いところでも活躍できる秘訣なのかなと思いました」と瞳を輝かせ、「今年の夏、結果でみなさんに恩返ししたい」と力を込めた。

 真の「エンジョイ・ベースボール」は、流した汗と涙の先こそ存在すると、6人は教えてくれた。同じ日吉台野球場で青春を過ごしたOBたちのメッセージは、鍛錬の冬を乗り切る上での、大きなエネルギーとなるに違いない。(加藤 弘士)

編集部おすすめ