棋士の加藤一二三(かとう・ひふみ=引退棋士九段)さんが肺炎のため、22日午前3時15分に都内の病院で亡くなったことが所属事務所から発表された。86歳だった。

 「神武以来(じんむこのかた)の天才」と評された棋士が天国へ旅だった。1940年1月1日生まれ、福岡県嘉麻市出身。14歳7か月でのプロ入りは藤井聡太六冠に破られるまで長らく将棋界の金字塔だった。1958年、史上最速でプロ棋士最高峰のA級八段に昇段。18歳1か月でのA級昇級記録は、藤井すら破ることができず、いまだ最年少記録として輝いている。

 うな重を昼夕食に連続注文したり、床につくほどネクタイを長く結んだり、対局中に庭の滝を止めさせるなど数々の伝説でも知られる。82年、名人を獲得。タイトル獲得は名人1期、棋王2期など、通算8期、棋戦優勝23回。公式戦対局数は2505局の歴代1位を保持し続けている。

 16年12月には藤井のデビュー戦の相手を務めた。17年、62年11か月の現役生活に終止符を打った。77歳11日という現役棋士の史上最年長記録を持つ。

 00年には紫綬褒章、18年には旭日小綬章を受章。引退後はバラエティー番組にも多く出演し、独特の話し口調と愛らしい見た目で人気に。「ひふみん」の愛称で親しまれた。アーティスト名「大天才ひふみん」として「ひふみんアイ」で歌手デビューも果たしている。

 22年には将棋界からは大山康晴十五世名人に続いて32年ぶり2人目となる文化功労者に選出。選出後の会見で今後やりたいことを聞かれた82歳の加藤さんは「ひねり飛車で(藤井と)再戦を。もし(再戦の)チャンスがあれば喜んで研究して元気いっぱい戦います」と勝負師としての闘志を燃やし続けていた。

 ◆葬儀日程 通夜は27日午後7時30分、告別式は28日午後1時30分、いずれもカトリック麹町イグナチオ教会(東京都千代田区麹町6・5・1)で執り行われる。喪主は長男の加藤順一氏。(日本将棋連盟発表)

 ◆加藤 一二三(かとう・ひふみ)1940年1月1日、福岡県稲築町(現・嘉麻市)生まれ。54年、史上最年少(当時)の14歳7か月で史上初の中学生棋士に。60年、結婚。

子どもは1男3女。82年、名人位奪取。1950年代から2000年代まで全年代でA級に在位し、19、20、21の各世紀生まれの棋士と対局実績を持つ。敬虔(けいけん)なクリスチャンとして知られ、対局中に廊下で聖歌を歌ったとの伝説も。愛猫家。愛称は「ひふみん」。

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