2月11日がやってくる。野村克也さんの命日である。

2020年の死去から6年。その人気は不変だ。七回忌法要イベント「月見草人生 ノムさん」が「選手時代」と「監督時代」に分かれ、都内2か所で開催される。「選手時代」を展示中の東京・墨田区吾妻橋にある「ル・モンド駒形」を訪ねた。

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 展示されている直筆のノートからは、野村克也という野球人がテスト生から球史に残る「打てる捕手」に進化した軌跡が浮かび上がってくる。

 京都・峰山高から1954年、契約金0円のテスト生で南海入団。「肩が弱くて、遠投では先輩が『もう少し前で投げていいよ』と言ってくれて、合格できた」。1年目は主にブルペン捕手だったが、オフに戦力外を打診された。「生きていてもしょうがないから、南海電車に飛び込んで死にますと言ったんだ」。これで契約延長されると、3年目からレギュラー捕手に。65年には戦後初の3冠王。70年から兼任監督を務めた。

 スマホはおろか、パソコンもない時代だ。野村さんは選手時代から実戦を経て学んだ知見を言語化し、ノートに書き記していた。会場ではプロの世界で成功するために思考を重ねてきた、その一端に触れることができる。

 内容については「ネタバレ」になるため伏せるが(ぜひ会場に足を運び、ご覧になって欲しい)、南海球団の便箋にペンで綴られた記述は、「野球学」とも呼べるものだ。指導者や評論家になってからではなく、現役時代から言語化と体系化を進めていた点に、あらためて唯一無二の野球人であるとの思いを強くした。

 そして、それらは南海監督時代の「シンキングベースボール」、ヤクルト監督時代の「ID野球」となって開花する。晩節になってからも「ノムラの考え」を改訂していたという事実に、胸が熱くなる。

 会場が庶民的なゲームセンターなのも、自らを「月見草」と称した野村さんにふさわしい。現地でしか買えないノムさんグッズの数々もうれしい。「選手時代」と「監督時代」。どっちの野村さんも魅力的だ。その神髄にふれる契機としたい。

(元野村番・加藤弘士)

野村克也七回忌「月見草人生 ノムさん」

【選手時代】

会場:ル・モンド駒形

(東京都墨田区吾妻橋2-4-10)

期間:2026年1月31日~2月23日 11:30-22:30(L.O.19:00)

【監督時代】

会場:鮨太鼓

(東京都新宿区市谷砂土原町1-2-57 久貝ビル1階)

期間:2026年2月11日~2月28日 11:30-22:30(L.O.22:00)

※13:00-15:00は見学のみ

※ともに入場料1000円。イベントの収益の一部は、少年野球の普及など子供たちのために寄付される

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